FF7

□ホワイトデイにもらったもの
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それは小さな誤解から始まった小さな騒ぎ。

*ホワイトデイにもらったもの*

クラウドが神羅ビルの中をとことこと歩いていると、目の前をセフィロスが通り過ぎていった。
親友のザックスに紹介されてから、親しく付き合っていてもらっているが、あいかわらず憧れの人である。
今みたいに突然見てしまうと動悸が激しくなってしまう。
幸いセフィロスはこちらに気がつかなかったのか、すぐに姿は見えなくなっていった。
クラウドはため息を吐いて呼吸を落ち着かせると、セフィロスの消えていった廊下を眺めた。
ふと、その廊下に何か落ちているのを見つけた。
クラウドは少し小走りでそちらにむかった。
「なんだろう?」
それは青いちいさな箱だった。手のひらに少し余りそうな箱には青色のリボンがついていた。
あきらかに誰かへのプレゼントのようだ。
軽く振ってみると少し硬いものが入っているようだ。そして軽い。
危険なものではなさそうだ。
では誰のものだろう?

クラウドはリボンの交差するところに差し込まれたカードに気がついた。
プライバシーの侵害はこの際仕方ないと思い、心の中で謝りながらカードを読んだ。

  To Sephiroth
 Thank you very much for the nice present you sent me.
  From H.G

「セフィロス宛?」
どうやらセフィロスにお礼の品らしい。
クラウドは神羅ビルの上階にあるセフィロスの部屋へと向かった。
ちなみにそこへはカードキーがなければ通常入れないが、タークスの知り合いがこっそり秘密パスワードでも入れることを教えてくれた。
クラウドは中央まで上ってから上階行きのエレベーターに乗り、パスワードを入力した。
しばらく待ってから電子音とともに扉が開いた。
「セフィロスいますか?」
かって知ったる他人の家、そこは堂々と無断侵入です。
しかし部屋には誰の気配もしなかった。
「いないのかな?」
クラウドは頭をかくと、あきらめて帰ることにした。
「今度会えるときにでも渡そう」
置いておくと多分忘れ去られるので、送り主のために手渡し必須だ。

帰ろうとエレベーターのボタンを押そうとすると、同じタイミングでエレベーターの扉が開いた。
「わっ、クラウド?」
現れたのはセフィロスとザックスだった。
クラウドはとっさに箱を自分の後ろに隠した。
「どうしたんだ?クラウドこんなところで、ってか鍵はどうやって開けたんだよ」
ザックスは近づくとクラウドの頭をがしがしと撫で繰り回した。
クラウドは頭を振ってザックスの攻撃をはずす。
「あ、えっと・・・オレ、セフィロスに用があって」
「お、なんだおっさんに用事か。ほら、おっさんぼーと立ってないでなんか言ってやれよ」
セフィロスがこちらに近づいてくる。それだけでクラウドの頬は赤く染まる。
クラウドは2人の横をすり抜けると、彼らが乗ってきたエレベーターに駆け込むと急いで扉を閉めた。
ゆっくりと扉は閉まった。
クラウドはパスワードを入力してエレベーターをロックすると、床に座り込んだ。
「はー、なんか緊張して変なことしたな」
そうしてクラウドはひざ小僧を抱え、しばらくエレベーターから景色を眺めていた。
その間、エレベーターが使えなくて職員は非常階段で上り下りしたそうだ。
そして一部のものは・・・
「おっさん、飛び降りるのはやめろ!」
「問題ない。こちらのほうが早い」
「いやいや、問題ありすぎだから!小さい子がまねしたらどうす・・・って、本当に降りるなよ!」
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