FF7

□パズルの思い出
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気が付けばそばに兄さんがいた。
まるで稚拙なパズルのような記憶の中のどのピースを見ても兄さんがいた。
だから・・・・
僕たちはこのまま離れないと思っていたんだ。
ねえ、兄さん・・・

僕たち兄弟は互いに強すぎる力を持っていた。
とくに僕の力は強すぎて自分では制御ができなかった。
でも兄さんがそばにいれば、闇はすぐに消えてしまう。
その代わりヴァイスの力も弱まってしまう。
僕たち兄弟は研究者の悩みの種でもあり、同時に興味深い実験動物だった。
兄弟を放すとすぐにネロの闇があたりを飲み込んでしまうから、どうやって二人を引き離して実験するか、研究者はよく話し合っていた。
それも僕たちの目の前で。
まるで実験動物には言葉なんてわからないかのように。

ある日、新しい研究者が来た。
いやらしい笑い方をするめがねをかけた男だった。とある実験が終わったからこちらに来たそうだ。
そして僕たちの暮らしが変わった。
毎日狂ったように実験が繰り返される。
聞きなれた悲鳴、見慣れた光景がさらに血の色を帯びる。
世界が狂っていくのは早かった。
増えていく実験に訓練。そして殺し合い。
でもいつも兄さんがそばにいて守ってくれた。
だから大丈夫だと。いつまでも一緒にいられると思っていた。
でも狂った世界はそんな小さな幸せを見逃してくれるほどやさしくなかった。

突然僕たちは引き離された。
離れたくなくて、僕たちは力いっぱい抵抗した。
研究所から飛び出して、DG内をがんばって逃げた。
兄さんは僕の手をしっかりと握って彼らから逃げていく。
後ろから声が追ってくる。
僕は兄さんに引っ張られながらも、一生懸命走った。
追っ手を振り切り、使われなくなっている小屋に逃げこんだ。
何も無かったけど、僕たちはそこで暮らすことにしたんだ。

何もしていないときは寒さをしのぐために二人でくっついていた。
会話をするだけの言葉を知らなかったけど、それでも沢山話し合った。
毎日狩りにいってはねずみや虫を捕まえて食べた。
いろいろ大変だったけど、2人でいれば幸せだった。
このままいつまでも一緒に生きていけさえすれば、どんな状態も我慢できると思った。
兄さんがいつまでも隣で笑ってくれてさえいれば・・・
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