FF7

□四月一日
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DGの片隅、ネロとシェルクが言葉を交わす。
「エイプリルフールって何ですか?」
「そんな情報をどうやって知ったか少し興味がありますけど、とりあえずエイプリルフールというのは4月1日の一日間だけうそをついても良いという行事のことです」
「うそをついてもいいのですか」
「はい、そしてみんなで楽しむという行事です。できるだけ大げさな嘘をつくのがいいとされています」
ネロは少しの間考えるそぶりを見せると、歩き出した。
「どこへ行くのですか?」
「面白そうなので、“嘘”をついてきます」
「どうでもいいですけど、私に迷惑がかからないように頼みます」


「横縞のスイカがあったら面白いんじゃない」
「いや、むしろ夏らしく水玉模様とかどうだろう」
「四角いスイカがあると聞いたが、まことなのだろうか」
ヴァイス、ロッソ、アスールが顔をあわせて雑談をしている。
ツヴィエートといっても日常会話なぞ、こんなものだ。
そこへネロが現れた。
「ネロか、今スイカの話をしていたんだが、ネロはどんな模様がいいと思う?」
ネロはさらに近づくとヴァイスの前に立つ。
「そんなことよりも、兄さんに言いたいことがあるんです」
「ん?なんだネロ、言ってみな」
ヴァイスはネロの頭に手を置くと、やや乱暴に髪をなでる。ネロは気持ちよさそうに目を細めると言った。
「実は・・・・前から兄さんのこと・・・」
またいつもののろけかと、ロッソとアスールは呆れ顔だ。
しかし今日はいつもとは違う言葉がネロの口から飛び出た。
「兄さんのこと・・・嫌いでした」
「えっ?」
「今なんと申した?」
思わず間抜けな回答をしてしまう。
「大嫌い」
それだけ言うとネロは来たほうに走り去っていってしまった。
2人はその後姿を呆然と見るしかできなかった。
「ネロ、本当にどうしたのかしら・・・・・ってヴァイス!?」
ヴァイスは白の名にふさわしく、真っ白な灰になっていた。
「しっかりしろヴァイス!ヴァイスーーーーー!!!」
その後しばらくヴァイスはショックを引きずったままだった。


帰ってきたネロにシェルクが声をかける。
「ネロ、悪戯はうまくいきましたか?」
「はい、みんなすごく驚いていましたよ」
「それはよかったですね。ちなみにどんな嘘をついたんですか?」
「兄さんに大嫌いと言いました」
「・・・・・!!」
ネロにエイプリルフールなんて気軽に教えなければよかったと、シェルクはこのとき後悔したのだった。

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