FF7

□恋のような甘い毒
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この物語はクリスマス配布小説「聖なる夜の奇跡」を読んでから、読んでください。
基本はその話の続きとなっています。
つまりクラウドの家にヴァイスとネロがいたりなんかします。


朝目覚めると、家中に甘い香りが充満していた。
なんだろうかとカレンダーを見たクラウドは瞬時に納得した。

『2月13日』

乙女達の決戦の前日である。
毎年バレンタインになるとティファが仲間たちを集めてチョコパーティをするので、前日から準備に余念がないのである。
おそらくユフィやマリンも一緒になって作っているのだろう。
去年は素材から作るなどと、遠方にカカオを取りに行かされて大変だった。
今年は大人しく味にこだわる事にしたのだろう。というよりもそうであって欲しかった。
クラウドは起き上がると、大きく伸びをした。
朝日の傾きはまだ早い時刻を示していた。
ふと、隣のベッドに目を向けるがそこには人影はなかった。
隣のクーインサイズのベッドには本来、ヴァイスとネロがいるはずであった。先日、突然に訪れた彼らはこの家の人々に受け入れられ、こうしてクラウドの隣に居を構えていた。
おそらくは階下でこき使われているのだろう。
クラウドはもう一つ伸びると、着替える為に箪笥に向かった。




仕事着に着替え終わったクラウドは階段をゆっくりと下りていった。
今日はバレンタインも近いということもあり、沢山の仕事が入っていた。
この仕事ばかりは後回しに出来ないのが辛いところだ。
せめて腹だけは膨らまして気分を上げたいが、下手したら失敗したチョコ菓子が朝食になりそうだ。
カカオの匂いだけでもう腹いっぱいになりながらも、食堂に顔を出した。
「おはよう、今年もすごいな」
戦場と化している食堂の中では女達が今年も手早く何かを作っていた。
クラウドは彼女達を刺激しないようにそっと脇にある冷蔵庫をあけ、適当におかずとパンを持ち元来た扉をくぐっていった
階段に腰掛けながら朝食を取っていると、目の前を疲れた様子のヘンゼルが通りかかる。
おそらく彼も手伝わされているのだろう。
助けを求めるような視線に耐え切れなくて、パンを必死に食べることにした。

食べ終わった食器を自分で洗うとクラウドは仕事に向かうことにした。
ふと、働く人影の中に黒い姿を見つけた。
(あれは・・・・ネロ?そうかヴァイスにあげるのだな)
少しほほえましい気分になりながら、クラウドは食堂を出て行った。
同じように働いているヴィンセントについてはノーコメントだ。どうせヴィンセント・ヴァレンタインだから手伝わされているのだろう。
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