替え歌

□絵本『人柱武将』
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甲斐に住まうは虎の若子
焔(ほむら)をまとわせ いざ頼もしく
一人の忍を従わせ、
紅蓮となって駆けていく。

そんな男は、森の道
罪人となりて罵られて
死出の道と知りながらも
大阪への道を下っていく


奥州に暴るるは青き竜
駿馬(しゅんめ)を操りて(くりて)、戦場へ(いくさば)
己の六爪と右目だけをひきつれて
嵐となって暴れ狂う

そんな男は、北の地に
時の勝者に警戒されて
もはや天下を望むすべもなく
鎖につながれ枯れていく


安芸に構うは賢い男
知略の果てに、国の長(おさ)
己さえも駒と扱いて
強き国を造りあげた

そんな男は、中国に
それ以上を望むこともなく
上に立つものは滅びると知り
天下を横目にただ消えゆる


安居への道を辿ったり
竜を招いてのお茶会
中国からの招待状は
参の香紙(かおりがみ)


天下に登るはただ一人
耐えに耐え抜いて、ようやく得た日本(ひのもと)
平和な国を造ると決め
多くの兵(つわもの)と共に歩んできた

優しい主と、最強の武士(もののふ)
ようやく天下を手に入れて、

二人はともに笑い合う
天下泰平は永遠(とわ)の夢となる
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