その他

□冒険の裏側*
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カヴァロはすぐに捕まえ、また無理やりにズボンを脱がした。
今度はあきらめたのかおとなしく脱がされるままに脱がされた。
「パンツぐらいは自分で脱げよ」
やや時間を置いてから頷くと、しぶしぶと言った様子で自らパンツを脱いだ。
なんだか4歳児を相手にしているような気分になってきた。
とりあえずかなりぐちゃぐちゃになった脱衣所を片付けることにして、テニアスを浴室の方へと追いやった。
下に散らかった服を近くにあった藤籠の中へと放り込む。
「そういえば着替えがないな・・・おい、テニアス着替えは・・・っこら!」
振り向いたその先には浴室の窓から全裸で逃走しようと試みる男の姿があった。
本当にこいつは何歳児だ・・・・?

結局脱衣所からみつけた着替えを2人分用意すると、カヴァロも一緒に風呂に入ることにした。
どうせ広いんだし、それにもう逃げないように監視する意味もあった。
使わないだろうになぜかシャワーヘッドは4つもあったので、2人ではいっても不自由はなかった。
ただまあ、隣に座っているテニアスの手元がとても不安定で気になるくらいだ。
「あー、もう!わかったお前はおとなしくしていろ!オレが洗ってやるから」
カヴァロはすばやく体の泡を洗い流すと、テニアスの後ろにまわりこんだ。
そしてシャンプーを手に取ると、テニアスの頭をあわ立てる。
「お客さん、痒いところはありませんか?」
つい軽口をたたいてしまうのは癖のようなものなのか・・・だがテニアスがとても気持ちよさそうにしているから、なんだかまんざらでもなかった。
「ほら、頭流すから眼を閉じてろよ」
シャワーで泡を洗い流しながら髪の毛をけしとぐとさらりとした柔らかな髪が手に心地いい。
まるで上質な絹のような手触りだ。
(いかんいかん、これは男の髪だぞ・・・しかも中身は幼稚園児だ)
カヴァロはやや乱暴に髪を洗い終わると、次はスポンジをあわ立てて体を洗い始めた。
ブリーダーという職業柄日に焼けた肉体は筋肉がよくしまっていた。腕を中心に傷が目立つのはモンスターの所為だろうか。
ブリーダーもなかなか大変な職業のようだ。
だかそのおかげでカヴァロのような冒険家が安心してモンスターに背中を預けられるのだ。
感謝の気持ちを込めて、カヴァロはテニアスの体を綺麗にした。
「よし、終了。お前は先に浴槽はいってな」
泡を全部洗いながらすとテニアスを浴槽に追いやり、次は自分の体を洗い始めた。
時々背後を振り返り逃走してないか確認しながら、カヴァロは手早く体を洗った。

その後ちゃんと肩まで湯に浸からせてから一緒に出ると、今度は体を拭くという仕事が待っていた。
なんだか子供が出来たような気分だった。
「ほら、手を挙げろ。もう逃げようとするなよ」
優しく頭から拭いてゆくと、もうあきらめたのかテニアスはおとなしくされるがままになっていた。
本当なら拭くぐらい本人にやらせてもかまわなかったが、水浸しの体で逃げられると片づけが大変そうなのでやめた。
それにここまで世話をしたのならもう最後までやってもかわらないという気分だった。
つまりはやけくそだ。
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