リクエスト
□存在に縛られて
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飛段はサソリの部屋に来ていた。
「普段は鬱陶しい奴だが、角都がいねえと鬱陶しさ倍増だな」
傀儡の調整をしていたサソリは、先程から落ち着きなくしている飛段に振り返って言った。
飛段は、傀儡の部品をいじったり、部屋をうろついたり、読めもしない分厚い本をパラパラとめくったりしていた。
数十分前にデイダラの部屋で同じことをしていたら追い出されてしまったというのに。
「やることねーしィ」
「ったく…(怒)」
だからといって、放っておくサソリではない。
気が散るから一人の時間が欲しいのだ。
サソリは立ち上がって小棚を漁り、そこから小さな袋を取り出し、飛段に向かって、ポイ、と投げつけた。
飛段は反射的に両手で包むように受け取る。
「それやるからとっとと部屋戻れ」
「なにこれ、アメ?」
袋を開けると、小さなピンクの粒がいくつも入っていた。
「疲れも嫌なこともブッ飛ぶ飴だ」
「へー、兵糧丸みたいなもんか?」
「あー、そうそう」
作業に戻るサソリの返事が適当だ。
どうでもいいから厄介払いしたいのだろう。
「ふーん…」
しばらく黙って手を動かしていたサソリだったが、なにを思い出したのか「あ」と声を漏らした。
「言っとくが、少なくても2・3粒でやめとけ。特に角都とかにやるなら尚更…」
そう言いながら振り返ったが、飛段の姿は忽然と部屋から消えていた。
サソリは口を開けたまま呆けていたが、
「まあ、明日言えばいいか」
そう呟いて作業に戻った。
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