リクエスト

□神の禁制
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賞金首は目を見張った。

今、己の目の前で、雷遁の術で切り落としたはずの飛段の首が怒声を発しているのだ。

部下達も、驚愕のあまり言葉を発せず飛段を凝視している。


「てめー、いきなり雷遁かましやがってェ! そんなにこのオレが怖かったかよ!? ああ!?」


飛び出してターゲットに迫った飛段だったが、ターゲットの賞金首は襲撃に慣れているのか、冷静な面持ちで雷遁の術を発動したのだ。

印を結ばずにだ。

発動されたのは稲妻の刃を出現させる術で、偽暗と似た術だった。


首を切り落とされた飛段は喚き続ける。

角都はそれに近づき、髪をつかんで拾った。

髪を引っ張られ、飛段は顔をさらにしかめる。


「喚くな。だから気を抜くなと言っただろう」


角都はため息をつき、首が離れた飛段の体に近づいてしゃがみ、胸倉をつかんで起こした。


「誰のせいで気ィ抜けたと…(怒)///」


戦闘前のことを思い出し、飛段の頬が若干赤く染まる。

角都は「?」とわずかに首を傾げ、地怨虞で飛段の首と体を縫い付けた。


縫い終わり、なにごともなかったかのように飛段は大鎌を拾って立ち上がる。


「くっついたァ」


賞金首達は体を硬直させ、異形の者を見るかのように凝視したままだ。


「バケモノ…」


誰かが呟いた。

同時に、飛段が舌なめずりをし、賞金首に向かって突進する。

はっとした賞金首は、焦り気味に飛段に手をかざし、先程と同じ術を発動させるが、不死身とは言え、何度も食らう飛段ではない。

雷遁が当たる寸前に身を翻して避ける。


「避けた、だと!?」


賞金首はこの術で賞金の値をあげていたのだ。

飛段は鼻で笑う。


「偽暗の方が超強力だっての」


賞金首の術が偽暗に似ているからこそ、一度受ければ見切るのはたやすいことだった。

偽暗と比べれば、雷の速さはゆっくりしたものだ。


すぐに部下達が賞金首を守ろうと飛段の前に立ちはだかる。

だが、邪魔をされる前に角都がそれらの相手をする。


「貴様は賞金首のみ集中しろ」


角都は地怨虞で両腕を伸ばして部下2人を捕まえ、他の部下達にぶつけて賞金首へと向かう道をつくる。


「あとは頼んだぜェ、角都!」


飛段は地面を蹴り、部下達の間を通って賞金首へと近づく。


「くっ」


大鎌を横に振られ、賞金首は後ろに飛びのいた。

それでも飛段の攻撃は執拗に続けられる。


「逃がすかよォ!」


飛段は大鎌を振り回し、賞金首に詰め寄った。

賞金首はジャンプし、両手を向けて雷遁を発動させる。


しかし、飛段は術が発動される前に賞金首の後ろに回り込んでいた。


「だから、遅いっつーの」


大鎌が振り上げられ、賞金首の背中に大きな赤い一線が刻まれ、血が噴水のように噴き出た。

地面に赤い雨が降る。


着地した飛段は大鎌の大刃に付着した賞金首の血を舐めとったあと、己の手首を切りつけ、己の血を地面に滴らせてジャシンの陣を描く。

地面に倒れた賞金首は、自力でゆっくりと立ち上がり、飛段を睨みつけた。

ちょうど、飛段の体が白黒に変色する。


「準備は整った。これより、儀式を始める」


宣言した飛段は懐から杭を取り出した。

賞金首は額に冷や汗を浮かべる。

己の死は目の前の賞金稼ぎが握っていると直感でわかった。

阻止するために飛段に手をかざす。


「ゲハハハ! だから、遅いって言ってんだろがァ!!」


振り下ろされた杭は飛段の胸の中心を貫いた。


「ぐ…っ」


賞金首は己の胸を押さえて呻きながらも、術を発動させた。


「!!」





バチィ!!





先程の攻撃とは違い、攻撃は細長い閃光だった。

それは飛段の胸のペンダントに当たり、飛段の体に微弱な電流が走る。


「痛って!!」


そして、それを見届けた賞金首は仰向けに倒れ、絶命した。





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