リクエスト

□汝の隣人を愛せよ
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翌日の朝、角都は「ちゅっ」という可愛らしい音に目が覚めた。

横目で見ると、ベッドの脇に立っている飛段が頬にキスしていた。

目が合った飛段は笑みを浮かべる。


「おはよー、角都ゥv」

「ひだ…」


その天使のような笑みに朝から妙な気を起こしそうになる。

飛段を抱き寄せようと腕を伸ばすが、「早く起きろよ」と言って飛段はさっさと部屋を出て行ってしまう。


「…?」


時計を見ると、朝の7時だ。


「………!!」


瞬時に角都の脳が覚醒した。

ガバッと半身を起こし、飛段が出て行った開けっぱなしの扉を凝視する。


(何〜〜〜!? あの飛段が早起きだとっっ!!?(汗))


飛段のいつもの起床時間は、叩き起こさなければ10時は余裕で過ぎる。


「な…、なにがあったんだ…(汗)」


驚きを隠せずにいると、


「ぎゃ―――!!!(汗)」


デイダラの叫びがアジト中に響き渡った。

角都はベッドから飛び起き、デイダラの部屋へと向かう。


そこには、デイダラの頬にキスしようと唇を近づける飛段と、「嫌だ嫌だ」と両手で飛段の顔を抑えて必死に抵抗するデイダラがいた。


「…なにをしている?」


飛段がデイダラを襲っているようにしか見えない。


「あ! 角都! 助けてくれ! うん!(汗)」


デイダラは飛段を抑えながら角都に顔を向けて救いの手を求める。

角都は飛段に近づき、腰布をつかんでデイダラから引き剥がした。


「飛段、なんのつもりだ?」

「なにっておはようのチューだろ!?」


照れもせずに断言する。

角都は雷に打たれたかのようなショックを受けた。


「……なん…だと?」


少し遅れて、ようやく声が出る。


「だって、ジャシン様は「他人に愛を注げ」って言ったしィ。起こす時はおはようのチューが一番かと…」

「それなら叩き起こされた方がマシだ!! うん!!(汗)」


デイダラはタオルケットを頭から被ってガタガタと震えている。


「おまえ、まさかそれ、暁のメンバー全員にやるつもりだったのか?(汗)」


角都が問うと、飛段は「当たり前じゃん」と答えた。


角都を抜いて暁メンバー勢ぞろいで飛段を殺しにかかるだろう。


サソリにもやるのでは、と心配になったデイダラは飛段に言う。


「ひ、飛段、角都以外でそれは迷惑だと思うぞ。うん(汗)」


「迷惑」という言葉を聞き、飛段はピクリと反応した。

眉をハの字にして反省する。


「そっか…。迷惑ならやらねえ…」

「飛段?」


やはり、いつもの飛段ではない。


飛段は顔を上げ、扉へと向かって振り返り、角都とデイダラに言う。


「朝食、作っといたから食堂に来いよ」


そう言って廊下へと出た。


残った2人はわが耳を疑った。


((飛段が朝食を…!!?(汗))


飛段が朝食を作っている姿など、角都さえ見たことない。





*****





食堂に集まった暁メンバーは、テーブルに並べられた人数分の朝食を見て顔を青ざめていた。


皿の上には、泥状の黒い物体が載っていたからだ。

絵にするとモザイクがかかるほどだ。

おまけに、妙な異臭までする。


「う…(汗)」


角都がマスク越しからでもわかるほどの臭いだ。


「たんと食べてくれ! 兵糧丸とか、栄養のつくもの全部鍋にブチ込んで焼いたモンだァ!」


栄養つくどころか食べ物に精気を吸われそうだ。

あと、鍋で焼くとは言わない。


「オレちょっと片付けしてくるなァ」


そう言ってキッチンの方へと向かった。


「角都さん食べてくださいよ。相方でしょう(汗)」


鬼鮫が顔を向けるが、角都は目を合わさずに答える。


「断る。愛の受け止め方にも限度がある」

「あいつ…、オイラ達は不死身じゃねーぞ。うん(汗)」

「おい、ゼツ。食べろ」


サソリが言うが、ゼツは首を横に振る。


「食当たり起きそう」

「炭ハ食ベナイ」


同時に、全員はペインを押さえつけた。


「な、なにをする気だ!?(汗)」


「神なら食べられるだろ。うん」とデイダラ。

「ペイン、オレ達を救ってみろ」とイタチ。

「おまえならできる」と角都。

「あなたは神よ、ペイン」と小南。


サソリとゼツは全員分の朝食を持ってきて、一気にペインのこじ開けられた口に流し込んだ。





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