リクエスト

□汝の隣人を愛せよ
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チュド―――ン!!





朝から、暁アジトの一部が爆破された。

アジト内にいた角都とサソリが何事かと爆発した場所へと向かう。


「飛段―――! てめ―――!!(怒)」

「んだァ!? やんのかよ、デイダラちゃんよォ!!(怒)」


壁が大破した廊下には、鳥型の起爆粘土を振り上げるデイダラと大鎌を構える飛段が睨み合っていた。

2人とも殺気立っている。


「騒々しいぞ。なにがあった?」


角都が尋ねると、デイダラは飛段越しの角都を睨みつけて飛段を指さして怒鳴る。


「てめーの相方がオイラの部屋中血まみれにしやがったんだよ! うん!(怒)」

「ジャシン様のお祈りの時間だったんだよ!!(怒)」

「だったら別のとこでやれよバカ!! うん!(怒)」


飛段とデイダラは再び怒鳴り合い、武器を構える。


「オイラの作品も返り血だらけにしやがって!(怒)」


デイダラが持っている鳥型の起爆粘土には、赤い血が付着していた。

飛段はまったく反省せずに言い返す。


「どーせ爆発させんだからいいだろが!(怒)」

「おまっ、作品が素晴らしいからこそ、オイラの芸術は爆発するんだぞ!! それを血で汚しやがって…! うん!(怒)」

「あー! ウゼー! てめーの美学なんざどうでもいいんだよ! こっちは戒律があるからやってるだけで…(怒)」

「戒律戒律って、そんなに戒律が大事かよ! それこそどうでもいいってんだ! うん!」

「デイダラァ! てめージャシン教を馬鹿にすっと呪い殺…(怒)」


「「黙れ(怒)」」


耳鳴りがするほど煩く、頭の悪い口喧嘩を始めた2人に、角都とサソリは苛立ちを募らせ、長く続きそうだと感じて同時に行動に出た。

これ以上、アジトを爆破されても、血まみれにされてもかなわない。


サソリはチャクラ糸でデイダラの体を縛り、角都は地怨虞で飛段の体を縛り、各々の部屋へと持ち帰った。





*****





昼過ぎになって、鬼鮫とイタチのコンビが任務から帰ってきた。


デイダラはイタチの部屋に入り、サスケの小さい頃の写真が載せられたアルバムを微笑ましげに見ていたイタチに、今朝の飛段のことについて相談した。


「―――というわけで、いい加減、あいつのワガママぶりにはオイラのガマンも限界だ。うん。なんとかして…、って聞けよ、ブラコン(怒)」


デイダラが来てからも、イタチはアルバムから一度も顔を上げない。


「聞いている。安心しろ、貴様の髷のつかみ心地は忍一だ」

「なんの話だよ!! 全然聞いてなかったな!? うん!?(怒)」


怒り任せに床を叩くデイダラ。

手のひらの舌が痛がっている。


「それで、オレに飛段をどうしろというのだ。オレでも飛段は殺せない」

「おまえの幻術でジャシン教の教義を少し曲げてほしい。うん」


馬鹿らしいと言わんばかりにイタチは小さくため息をつく。


「オレの幻術をそんなことに使うなど、ナンセンス…」

「まあ、そう言わずに…」


デイダラは懐から、栗色の包装紙に包まれた団子を取り出した。

ピクリと反応したイタチの視線がそれに移る。

デイダラは包みから1本の団子を取り出し、イタチに見せつけた。


白く輝く団子といい、たっぷりとかかってある黄金色のみたらしといい、そんじょそこらの安物団子とは違うことがわかる。


イタチは魚のように団子に食らいついた。


「詳しく聞こう」


モゴモゴと口を動かしながらアルバムを閉じ、姿勢よくデイダラと向き合う。


「そーそー、団子でも食べながら。うん」


急須の茶を、2人分の湯呑に注ぐデイダラ。





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