リクエスト

□瞳を閉じて
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「ハァ…」


木に背をもたせてかけて座る飛段からため息が漏れる。


敵に呪いをかけ、己の心臓を突き刺してから、何時間が経過したのか今の飛段にはわからなかった。

祈りの時間は終わったというのに、いつまで経っても相棒は来ない。


自分から立ち上がって相棒の元へ行きたいところだが、そういう状態でもなかった。


別に首をハネられたわけでも、手足を切断されたわけでもない。


今回は目を潰されてしまった。


飛段の呪術に焦った賞金首がクナイで飛段の両目を切り裂いたからだ。

当然、ダメージがリンクしている状態だったため、近くに転がっている賞金首の両目も飛段と同じ状態になっている。


両目の傷の流血は止まったが、未だに光が戻らない。

周りは木々で囲まれているため、進めばぶつけまくるだろう。


だからこうして相棒が迎えに来るのを待っている。


「角都ゥ」


5度目の呼びかけにも無反応だ。


「んだよ。早く迎えに来いっての」


飛段は頬を膨らませ、不機嫌な顔をする。


苛立ちの次に訪れたのは不安だった。


もしかして、角都はもう2度と迎えに来ないんじゃないか。

賞金首の仲間にやられてしまったのか。

実は気配もなく賞金首だけを持って行ってしまったのか。


自分のことは放っておいて。


最初は一滴の雫程度の不安だったが、徐々に雨のように降ってくる。


「角都…」


6度目も応えてはくれない。


「角都…、角都…! 角都!!」


最後は子供のように、角都、角都、と喚き散らした。


他にも仲間がいるかもしれないのに、飛段は声を上げた。


しばらくして、茂みを掻きわける音が聞こえてきた。





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