リクエスト
□続・小さな恋人
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角都が、高飛びした芸術コンビをとっ捕まえて数日が経過した頃だった。
「ギャ―――!! 出たァァァァ!!(汗)」
「…オイラだ…。うん…」
消息不明だったデイダラがげっそりとした顔でオレの部屋に顔を出した。
まともに見れるもんじゃない。
オレの部屋でちゃぶ台を挟んで向かい合い、キッチンからいただいてきた干し肉とコーラを摂取しながら、デイダラは思い出すのもおぞましいような顔をしながら角都にとっ捕まったあとのことを話してくれた。
あのあと、サソリとデイダラは休みもなく、暁とは無関係な仕事を強いられていたらしい。
「仕事って?」
「オカマバーだのゲイバーだの…。旦那なんかオイラより怪しげな仕事を押し付けられてた。うん」
そのあと、「旦那に直接聞くのはやめとけよ。うん」と付け足された。
なんの仕事を押し付けられていたのか。
想像しようにも勝手にモザイクがかかってしまう。
「角都の気が済むのが少しでも遅れてたら、オイラも旦那も、人格崩壊してたかもな…」
オレは言わなかったが、この時、水の入ったコップを持つデイダラの小指が立っていた。
「うん? どうしたの? 飛段」
「!! ……いや…(汗)」
(どうした「の」!?)
デイダラは自分の失言にさえ気付いていない。
本当に戻ってこれなくなる手前だったのかもしれない。
デイダラの顔色が戻ってきた頃だろうか。
「小さな角都とはどうだったんだ?」
その言葉が引き金となって、オレは小さな角都がどれだけ可愛かったか、どれだけ惜しいことをしたかまで話した。
干し肉を頬張りながらオレの惚気に耳を傾けるデイダラの顔が徐々にまた青くなっていく。
オレの、小さな角都に対する溺愛ぶりに若干引いているようだ。
「そ…、それで?(汗)」
「イイ時に戻っちまってさァ。もったいないことしちまったなァって…。まあ、大人角都もやっぱり愛してるけどな♪」
デイダラは手のひらで自分の目を覆って呆れたようにため息をついた。
それからまた頬杖に戻し、呆れた目をオレに向ける。
「そのあと、オイラ達を追ってきたわけだな。うん。旦那も言ってたぜ。「案外早く戻ったな」って」
「タイミングがもうちょっと遅かったらなァ。せっかく可愛がってやろうかと…」
オレが続きのことを想像してニヤニヤしていると、デイダラが「ショタコン」と蔑むように言った。
オレは頬をほのかに赤くしながら「いやいや」と手を振る。
「角都は角都だしィ。あのままいってたら、アレやコレやソレや…」
やばい、考えるだけで興奮してきた。
その様子を見たデイダラは、ガタッ、と仰け反る。
「おい、息荒いし、ヨダレ拭け。うん(汗)」
「おっといけね…」
オレは手の甲でヨダレを拭い、「ハァー」と息をついて前を向いたまま両手を後ろの床につけ、天井を見上げた。
「もったいねェ…」
その時、ふと扉の方を見ると、わずかに開いた扉の隙間に人影が見えた気がした。
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