リクエスト
□激甘の飴と激痛の鞭
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飛段とデイダラが寝ついた頃、サソリと角都はアジトの屋上で満月を見ながら酒を飲んでいた。
とは言っても、サソリは傀儡なので、飲んでいるのは油なのだが。
角都は今日の任務を思い出し、小さくため息をつく。
「おつかれだな」
サソリは角都の徳利に酒を注いだ。
角都は一口飲んで疲れまじりに言う。
「飛段のことでな…」
「やっぱりな」
サソリは油を口にする。
「祈りの最中に追手に襲われた。オレが戦っているにも関わらず、あいつは祈りの集中していた。起き上がったら、言うにことかいて「角都ゥ、腹減った」だぞ(怒)」
怒りを思い出し、指で徳利を割りそうだ。
「解体(バラ)したのか?」
「ああ。そして自分で繋がなければならないことを思い出した」
「案外馬鹿だな、おまえも」
「黙れ、殺すぞ」
サソリは「まあ、そうすぐにキレるな」と手をヒラヒラさせて続ける。
「奴はバラバラにしても潰しても死なねえんだ。それはてめーにもわかってんだろ?」
サソリより十分理解しているつもりだ。
サソリは油を一口飲んで言葉を続ける。
「懲らしめ方を変えてみたらどうだ?」
サソリの提案に、角都は月を見上げながら考え込んだ。
思えば、飛段を叱るときはいつも殺してばかりだった。
トラブルを起こせば殺す、度の過ぎたワガママを言えば殺す、馬鹿すぎれば殺すなど、結果的に同じことの繰り返しでは意味がない。
飛段が調子に乗るのは目に見えていることではないか。
「……そうだな…」
いいアイディアが浮かばないかと酒を一口飲む。
口の中で甘く苦い酒の味が広がる。
「一度、酔わせてみるか。別の意味でな」
ふと視線をおとすと、徳利に残った酒に映る月がユラユラと揺れていた。
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