リクエスト
□存在に縛られて
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ペインは頭を悩ませていた。
角都より一足遅く到着した報告書には、任務失敗の大文字があった。
「角都には困ったものだ…」
「どうしたの?」
ちょうど部屋に入ってきた小南が心配げな顔で、ペインに近づいて尋ねる。
「角都が商談に失敗した」
「あの角都が?」
「失敗したと言うより、自ら中断させた。お得意を殺してな」
動機は見当がついている。
お得意は、前の任務の時に飛段を一目見て気に入ったらしい。
角都が今回の任務に飛段を不参加にさせたのは、それを察していたからだ。
飛段が狙われないよう商談にも集中したかったというのに、大方、お得意がそれをぶち壊したのだろう。
おそらく、こう言って。
「前に一緒にいた、おまえさんのカワイイお連れさん、いくらで売ってくれる? 金ならいくらでも出そう」
それは角都の前では死の言葉になる。
いくら角都でも、好きな金と最も大事な存在である飛段を天秤にかけるわけがない。
キレた角都は商談を目の前にお得意を首をへし折るなり頭を潰すなりで瞬殺し、とっとと報告書を書いてこちらに飛ばし、急ぎ足で戻ってきたのだ。
「怒りはごもっともだが、もう少しやり方というものがあるだろう(汗)」
「殺り方しか知らないんじゃない?」
そう言い合っていたとき、
「ギャ―――!(汗)」
廊下からデイダラの悲鳴が聞こえ、ペインと小南は何事かと部屋を出て、悲鳴が聞こえた方へと向かった。
そこには、角都の部屋の前で、バタバタともがいているデイダラがいた。
デイダラの体には、角都の部屋から漏れ出ている地怨虞が絡まっていて、騒ぎを聞きつけた鬼鮫とイタチはそれを取り外してやろうとしている。
早く外さなければ部屋へと引き摺り込まれてしまう。
「何事だ?」
部屋は角都の地怨虞で満ちていた。
入れば取って食われそうである。
「角都! 今度はなにがあったんだ!?(汗)」
驚いたペインが部屋に呼びかけるが角都の返事はない。
「ああ、飛段の奴、媚薬の分量以上を食べさせたな」
やってきたサソリが呑気な口調で言った。
メンバー全員がその言葉に反応する。
「媚薬!?(汗)///」
デイダラは思わず声を上げた。
「飛段に自慰用に渡しておいたんだ。2・3粒以上食べると、完全に性欲に支配されるうえに、チャクラが暴走しちまう。条件が揃わない限り特別なチャクラを発動できない飛段なら性欲に支配される程度で済むが…」
意思だけで地怨虞が出せる角都なら、話は別だ。
媚薬の効果が完全に切れるまで、本人の意思とは無関係に溢れ出る地怨虞は止められない。
「た、助けに入らなくていいんですか?(汗)」
鬼鮫は部屋の中にいる2人の身を案じた。
「全身精液まみれの2人を連れ出せるなら連れ出してこい」
サソリの言葉に鬼鮫は押し黙る。
助ける助けないの意見がいくつか出たが、結果、放置となった。
媚薬の効果は力尽きて2・3時間程度で切れるらしい。
それに、2人なら放っておいても死ぬことはない。
一方、外の様子なんて知ったこっちゃない角都と飛段は互いの体を密着させ、地怨虞に包まれながら静かな眠りに就いていた。
「角都ゥ…」
「ん…」
「おかえりィ…」
「ああ…」
無意識に交わした2人の言葉を聞いていたのは、角都の心臓達だけだ。
商談が失敗した日から、角都が睡眠をとることなく真っ直ぐに飛段のもとへと向かっていたことも知っている。
2人を起こさないように、
誰も入ってこられないように、
もうしばらく2人を揺りかごの中で眠らせてあげよう
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