リクエスト
□存在に縛られて
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サソリの部屋を出た飛段は真っ直ぐに角都の部屋へと移った。
扉を開けても部屋の主はいない。
それでも、微かに角都の匂いがする。
その匂いに誘われるようにふらふらとベッドへと歩み、糸が切れたかのようにベッドの上にうつ伏せに倒れた。
しばらく体内いっぱいに角都の匂いを取り入れたあと、枕のもとまで匍匐前進し、仰向けに寝返る。
「角都ゥ…」
なぜ角都は自分を連れていかなかったのか。
飛段の中で再び重苦しい塊が蠢いた。
外套をベッドの脇に脱ぎ捨て、ポケットからサソリにもらった袋を取り出し、その中の一粒をてのひらに落とした。
鼻先に近づけて匂いを嗅いだが無臭だ。
「……苦くねえだろな…」
怪訝な顔でその一粒を口に放り込み、舌の上で転がしてみる。
「……!!?」
その刺激は突然やってきた。
脳の奥がジンと甘い痺れをもたらし、体は火照り、息遣いが荒くなる。
手元から小さな袋が落ち、枕元に散らばった。
「はぁ…っ、な…、これ…」
飛段は、サソリからもらったその粒が媚薬だと悟った。
しかもたった一粒で狂いそうなほど強力なものだ。
もう数粒食べればどうなるのだろうか。
飛段はその粒に震えた手を伸ばし、もう1粒口の中に放りこんだ。
途端に、体の熱が上がったのを感じた。
「あぁ…っ! ふぅ…っ」
ズボンの中は先走りでぐしょぐしょだ。
気持ち悪さを感じてズボンを自らずりおろし、完全に勃起しているソレに手を伸ばした。
「んん…!」
手も腰も勝手に動いてしまう。
抑えようとしても、その動きは早さを増すばかりだ。
「角都っ、助け…」
角都の顔を思い浮かべた瞬間、
「ふぁっ、ああああ!」
呆気なく絶頂を迎えた。
それでも己の体を苦しめる快楽の熱は冷めない。
再び、ソレに熱が集まる。
「はぁっ、く…、と…、止まら…っねえ…」
涙もよだれも止まらない。
角都のベッドの布団を白濁の液体で汚してしまった。
角都が戻ってくる前に洗っておかなければただでは済まない。
それでも、飛段は体を起こすことすらままならない。
再び己の手でソレをつかみ、扱き始める。
「だ…め…っ、全然…っ、足んね…よォ…」
ベトベトに汚れた左手の人差し指を蕾に近づけ、差しいれた。
「んく…っ」
誰にも見せられない姿だ。
角都にさえ。
角都を思い浮かべながら、右手でモノを、左手の指で蕾に差しいれた指を激しく動かす。
「はぁ…ん…! かぁ…くずゥ…! も…っ、あ…、イ…く…」
絶頂を迎えようとした矢先、
「なにをしている」
「!!」
いつの間に部屋に入ってきたのか、角都は扉に背をもたせかけ、腕を組みながら自慰する飛段を平然とした顔で眺めていた。
「…っあ…」
手を止めた飛段だったが、せり上がった絶頂を止めることができず、再びその精を放ってしまった。
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