+++ story @v +++
□王子様は永眠る。≪後編≫
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ゆーが嬉しそうに俺を見て笑ったのとインターホンが鳴ったのはほぼ同時だった。
幸せな時間の邪魔すんじゃねぇよ…
そう思いながらさっさと追い返そうと思って足早に歩き玄関のドアを開ければそこには智、瑠伊、とーやが居た。
「なんだ、お前らか」
全員そろって俺達の家に来たことなんかなかったから少し驚いていると、三人のほうが驚いた表情で俺を見つめてた。
そっか、今朝はインターホン鳴っても俺が出なかったから智は合鍵使って入ってきたんだもんな。
「…海、落ち着いたのか…?」
智が少し心配そうに俺に聞いた。
「あぁ、もう全然平気、
ゆーが居るから。」
「はっ…?」
俺が嬉しそうに言えば三人は困惑の表情で俺を見つめる。
「ほら、中入れよ。ゆー飯食ってるからさ。」
そう言って三人を中に入れて、ダイニングに戻る。
「ゆー、智達来たよ。」
「おー智―。ルイスも、とーやも。」
俺がゆーに声をかければゆーは嬉しそうに俺の後ろの三人を見た。
俺はゆーの向かいに座り、ゆーに話しかける。
「なんか俺心配かけちまったみたいでさ。でももう全然大丈夫だよな。」
「海さん…」
とーやが静かに俺の名前を呼んだ。
振り返ってとーやの方を見れば三人は困惑したような表情で俺を見てる。
でもそんな三人の相手をしてるよりゆーとの時間が欲しかった。
ゆーの方を向き直りもうほとんど残っていないゆーの皿を見て俺はキッチンに向かって歩き出した。
「あ、ゆーおかわり
「海っ!!」
智が声を荒げて俺の名前を呼び、俺の腕を掴んで俺と向き合った。
「海!!お前、しっかりしろよ!!ゆーちゃんはもう居ねぇんだよ!!言い方悪いけどゆーちゃんは死んだんだよ!!」
涙をはらはら流しながら俺に向かって怒鳴る智を見て俺は振り返ってゆーを見た。
智に言われたことと眼の前で寂しそうに微笑むゆーを見て、俺はどうしていいか分からなかった。
確かにゆーは死んだと思ってた。
でもここに居るんだよ。
ゆーは生きてる、それじゃいけねぇのかよ…
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