+++ story @v +++
□小さなモヤモヤ
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智は俺より3、4歩前を歩いている。
せっかくのオフなのに、久々に二人で原宿まで買い物に来たのに、せっかく、せっかくなのに…
さっきから智はとーやと楽しそうに電話で話している。
たしかに電話がかかってきたら急用かもしれないし出るには出るだろうけど、でもそんなに楽しそうに長話しなくたっていいんじゃないの…?
今日の智はサングラスかけてるから、表情までハッキリ分かるわけじゃないけどさ…
でも智は絶対俺が居ること忘れてるよ。
智の彼氏は俺だよ?←
「…ん…だな……ん、じゃぁな。」
目的地だった店がすぐそこに見えてきたとき、やっと智は電話を切った。
「智っ…」
俺はすぐに智の横に走り寄り一緒に店に入った。
「ルイス、ごめんな?とーや、話し長くてさ。」
申し訳なさそうに俺の頭を撫でてくれる智に、俺は笑顔で小さく首を横に振った。
その後はいつも通りに二人でたわいもない会話をしながらいくつか店を回った。
その間にいくつものカップルとすれ違った。
幸せそうに歩いているカップルを見て、何故か俺は何か自分達に物足りなさを感じた。
「これ、ルイスに似合いそうだよ?」
俺の中の小さなモヤモヤの正体が、智のお気に入りのアクセサリーショップで智がネックレスを指差しながら俺を見たときに分かった。
「智、サングラス外して…?」
「へっ…?」
智の質問を無視して俺は智を見つめながら言った。
「サングラス外して」
「なんで?」
「今日一日、智の顔見てない…サングラスに邪魔されて智の笑顔見れてない…」
そこまで言って俺は急に恥ずかしくなった。
何言ってるんだろ、俺何急に我が侭言ってるんだろ…
「はいよ、」
智はサングラスを外して優しく微笑みかけてくれた。
それだけのことなのに、俺の我が侭に智が応えてくれただけなのに、俺は何故かすごく嬉しくて気がついたときには智に抱きついてた。
「ルイスどうしたー?」
「わかんない…でもなんか変なの…」
「でもほら、ここ人前だから」
「ん…」
頭をぽんぽんされて俺はゆっくり智から離れた。
そしたら智は
「これ、買ったげるから」
優しく笑った智の手には、俺がずっと欲しがってた星型のネックレスがあった。
しかもペアリング…
「うんっ」
いつでも貴方の全てを感じたいんだ。
―小さなモヤモヤ―