×ガゼル(風介)

□グラン(ヒロト)
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「“ケンザキくんのジッケンヒン”」

そう言ってグランに渡されたいつも見てるのとほとんど変わらないエイリア石…の破片?一部というのか、それが小瓶に入っている
かなり小さい。
落としたら気付かないであろうくらいの物


「実験段階だから、小さめなんだって」

実験段階…
その言葉に不安を少し覚えるも

「父さんは好きだけど…アイツは何だか気にくわないんだ。でも実験結果報告出来ないと困るからさ」

お願い!と顔の前で両手をあわせて頭を下げてきた
まぁ、私も退屈していた所だ
少しくらいなら引き受けよう…
了解の返事をグランに返すと「ありがとう!」と満面の笑みで言われ
早速小瓶からエイリア石を出してそれを私に渡してきた

「……特に変わりはないが、」

手に持ってみても
いつもと何も変わらない

「そうなの?……あ、この後プロミネンスとの練習試合だったよね?」

試合中なら何か変わるかもしれない、とグラン。
まぁ、それならそれでいいのだが
結果何も起こらなくてもそれもまた実験結果ということだ。

「グラウンド行こう!」

ニコッといつもの笑顔を浮かべて、私の手をとろうとした時、−パシンッと
グランの手が叩かれた。
私が叩いたと認識するまで数秒かからなかったが、驚いた

「…あれ?オレって予想以上に嫌われてる?」

少し寂しそうな顔をしながらそう聞かれて胸が痛んだのは何故だろうか…

そんな事はない、と言おうとしたが先程の行動の後でそれも何かと思い、いい言葉が見付からないままグランが

「、バーンが待ってるよ」

と、グラウンドを指差して「ごめんね、行こう」
と私の前を歩き始めた。

胸がズキズキして痛い
これがエイリア石の影響なのか…?



*


グラウンドに着くと
バーンが怒り気味に「遅い!」と言ってきた

他のメンバーはもう着いていて、準備万端の状態

「ごめんねー、オレが呼び止めちゃってさ」

またいつもの笑顔でそう言ったグランに「早くしろよ」とバーンが愚痴を零す
適度に準備運動をして、試合を開始する
プロミネンスからのボール
一気に私のチームのディフェンスラインまで攻められたが点はやらない
バーンがパスしたボールをカット…したつもりが、ボールが足に触れた瞬間
プロミネンスゴールまで物凄い威力でボールが飛んだ
そこでそれが私が蹴ったのだと気付いたが
ダイヤモンドダストも皆ディフェンスを固めていたのでそんな所には誰も居ない
当然の如くプロミネンスにボールを取られ
また攻められる
これが数回続いて気がついた


反射神経だろう
オートパイロットとでも言うのか
自分が意識する前に体が勝手に反射で動くのだ
このエイリア石はそれが比較的かなりアップする。
だから頭で考えない分、もの凄い威力で蹴れるのだ
だが実戦向きでは無いのも確かだ
見方にパスが出来ず
勝手に相手ゴールにシュートしてしまうのだ
現に先程も止められた


試合が終わってから、グランにそれを報告すると「ありがとう!」と、また満面の笑み
試合前の事もあり、私もグランに嫌われたと思っていたのに何故また私に笑いかける

「それならガゼルがオレの手叩いたの、それのせい何でしょ?だから良かった!嫌われてるわけじゃないんだね」

あぁ、なる程。
それを聞いてどこかホッとした気がした
グランに実験段階のエイリア石を返して
それを小瓶に戻すと

「ガゼル、お礼」

はい、と握った手を出されたので
何か有るのかと私も手を出すとグイッと引かれ
ほっぺに柔らかい感覚

「…?!」

「大好きだよ!」

「なっ……!!」


そう言って走り去って行くグランの背中を見ながら
いつの間にか胸のズキズキが無くなってる事に気がついた










end
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基山と涼野が可愛いです

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