窓側のコイゴコロ
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呼吸の1つ1つに
私の心は奪われる。
「アキ、帰るよ」
『あたしまだここいる』
「もう17時だけど?」
『ごめん、先帰って』
「そう、じゃあまた明日ね」
1人で帰っていくアズの背中を見下ろしながら、少し申し訳ないと思いながら。
あたしの視線はまだ校庭。
今日は雨だから、どの部活動もお休みで。
でもそんな、人気の無い校庭だからこそあたしは好き。
人気の無い教室もまた同じ。
自分も、その無の空間に溶け込んでいられるようで心地いい。
「あれ?生徒はもう下校してるぞ。誰待ってるんだよ」
『…先生、』
「完全下校は17時半だぞ?規則は守れオガタ」
それを唯一邪魔しようとするんだったら、この存在。
担任のサクライ先生。
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