頂き物

□大切なモノ
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どうして、何でこうなった・・・俺が・・・私が何をしたというのだ
私は何もしていない・・・何故、誰も信じてくれないんだ
私はもういらないのか・・・だから、テニスができないようにしたのか
私にとってテニスが全てだったんだ、テニスができないならもう生きる意味が無い・・・いつかは気づいてくれると信じていたんだ、信じていたかったんだ
もう、信じ続けることに疲れた・・・私が消えても誰も心配しないなら・・・消えてもいいだろうか・・・
あっ、あの二人は私を信じてくれたから、消えたら悲しむだろうな・・・だが、もう無理なんだ・・・
父さん、母さん、お祖父様・・・親不孝者ですいません。
先生方、最後まで私を支えてくれてありがとうございます。
兄さん、佐助君、いつも心配してくれてありがとう。
仁王、赤也・・・私を信じてくれて、とても嬉しかった・・・

彼女は居合刀を自分の首に当て、思いっきりひいた。赤、赤、赤、赤・・・赤い水が彼女の周りを川のように流れていた。


真田副部長が自殺未遂しただと・・・あの副部長が・・・なんでだよ、副部長は何もしてねぇのに・・・
副部長が学校を休んで数日、俺は先生に呼ばれた。先生たちは全員、真田副部長の味方だったから、俺はすぐに職員室に向かった。職員室には俺の他に仁王先輩ががいた。俺と先輩以外は全員、真田副部長を信じないであの女を信じた・・・今この場にいる人は皆、副部長の味方だったから俺は副部長に何かあったんだと直感的に思った。仁王先輩も、いつもより真剣な表情をしていた。
「二人とも、落ち着いて聞けよ、真田が・・・自殺未遂した」
信じられなかった、あの副部長が自殺をしたなんて・・・それは仁王先輩も同じようだった。信じられないと思っていると先生は俺と先輩に向けて
「二人は真田の所へ行ってやれ、他の者には早退したと言っておく」
俺と先輩は、荷物を持って学校を出て、真田副部長がいる病院へ急いだ。

病院に着くと副部長のお兄さんが待っていた。
「君たちが、あの子のことを最後まで信じてくれていたんだね」
お兄さんは俺たちを副部長がいる病室まで案内してくれた。病室のベッドでは、首に包帯を巻いた副部長が眠っていた。僅かに胸が上下している。
「ねぇ、君たちは妹がどうして自殺をしようとしたか、分かるかい?」
副部長のお兄さんは静かに俺と仁王先輩に聞いた。声には怒りが溢れ出ていた。俺は言うかどうか考えていた、
「真田には、口止めされておったんじゃ・・・」
先輩がお兄さんに、一ヶ月前から始まった虐めについて話し出した。


一ヶ月前、姫崎綾音が転入して来た。クラスは、仁王先輩と丸井先輩と一緒で、仁王先輩以外が彼女に惚れた。仁王先輩には、彼女に皆が惚れたことが疑問だった。どう見ても、厚化粧で元の顔が判らないし、香水もどれだけ多く付けているんだと思うほど、香水臭い女だった。先輩はそれからあまり教室へ入らなくなった。その後も、姫崎は何をしたのかは知らないが、俺と仁王先輩、真田副部長、先生以外が、全員彼女に惚れた。そして、いつの間にかテニス部のマネージャーになっていた。無論、俺と仁王先輩、真田副部長は反対したが、多数決ですぐに決定してしまった。最初の数日間は何も起きなかった。しばらくして、真田副部長が姫崎に呼び出されて部室へ向かって行った。その後、あいつの悲鳴が聞こえてきたから、レギュラーたちが全員部室に向かった。そこには、顔を赤く腫らした姫崎と何が起きたのか理解できていない副部長がいた。女が言うには、告白されて断ったら殴られたらしい。だが、副部長は女子に告白は絶対にしない、何故なら副部長は女だから・・・でも、このことは家族と先生たちを除けば、俺と仁王先輩しか知らない・・・仁王先輩以外は、簡単に女を信じ副部長に暴行し始めた。この時はまだ、軽かった。この日を境に副部長に対しての虐めが始まった。


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