拍手用ブック
□東京都青少年健全育成条例に反対して・番外
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「絵師を変えればもっと良くなる、なんてご意見もよくいただきましたし。
今回のイベントを機に、誰か挿絵を描いてくださる方がいればと思っていたのですけど。
『風の賢者』さんが今日ここにいらして下さったってことは、OKということでよろしいですね?」
「それはもちろん。…しかし、人は見かけによらぬものですねぇ」
セティは、頬を染める『セリス・ド・ボンジュール』ことルクレティア・メルセスを、微笑ましく見つめた。
「私はやっぱり、絵師には向かないみたいです。セティ殿、いえ、『風の賢者』殿、宜しくお願いしますね」
「いえいえ、こちらこそ。…で、少々ご相談なのですが」
「何でしょう?」
「新刊は…いつ見せてもらえますかね? 実は俺、『イマシン』フリークだったりするんですよ」
つい、対友人口調の『俺』が出てしまった…いけないいけない。
ルクレティアはふふふ、と含み笑って、
「イラストのイメージを膨らませるのに必要になるかと思いまして、お持ちしました」
原本のままの紙束を、ばさり、とセティの前に置く。セティはその場で貪るように読んだ。
遺跡を走り去った少女と、残された青年のその後がここに総て、書かれているのだ。
「セティ殿、今度の即売会では『風の賢者』と『セリス・ド・ボンジュール』のコラボで一世を風靡しましょうね」
「ええ、もちろんです。…ルクレティア様、いえ、『セリス・ド・ボンジュール』殿、これならイケますよ!」