もし焼き討ち後のカラヤに現れたのがクリス(&ボルス)だったら
□あなたの御世に祝福を
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「でもよかったです」
ルイスが晴れやかに笑って言った。
「このままだとクリス様、正式に騎士団長になられたこと言わないでお開きになっちゃいそうでしたから」
ルイスの言にレオが磊落に笑って、
「騎士団長ってのは評議会の承認で決まるもんじゃないのさ」
俺の中ではクリス様は既に団長だ、ということだろう。
そういうことさ、と、ボルスもレオに同意する。
「でもちゃんとお祝いできた方がいいじゃないですか」
ルイスに感謝の視線を送られて、ユーリは曖昧に微笑み返した。
ひょっとして私フライングしちゃいました? と、恐縮しきりのユーリにルイスは重ねて、
「そんなことないですよ、ユーリさんはいいことしたんですよ」
と、強く主張した。
「だからユーリさん、遠慮しないでいっぱい食べて下さいねお祝いなんですから!
チーズは大丈夫ですか? サロメさんのグラタンおいしいですよ! 食べるといいですよ! ミネストローネ温め直してきましょうか?」
ルイスは細々とユーリの世話を焼く。
貴族の子弟とは言え7人兄弟の末っ子というポジションでもまれて成長したルイスの気働きは最早侍女である。
「グイグイいくなールイスは」
ボルスが呆れたように言い、
「サロメ殿もグイグイいかないと。あなたの『天使』がルイスに取られてしまいますよ」
パーシヴァルはからかい混じりにサロメに言った。
「取る取らないの問題ではないでしょう、人権無視も甚だしい」
サロメは言い捨て、デザートのケーキを切り分けようとした。すかさずルイスが、
「サロメさん、僕がやりますよ。サロメさんも食べて下さい。
あ、そうだユーリさん、僕もコックスキル持ってるんです。マグロのカルパッチョのレシピ、教えてくれますか?」
もちろんユーリに否はない。料理談議に花を咲かせる少年少女はとても楽しそうだ。
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