たのしいまきば(仮)

□ルナティック
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月が綺麗な夜だった。
パーシヴァルは酒場で軽く1杯引っかけてから、いい気分のままに入浴した。
ちなみに、共に飲んでいたボルスはアンヌやレオらと飲み比べを始めてしまったので、酒場に置き去りにしてきてある。

入浴後、トレードマークのツンツンヘア(笑)がぺったり寝てしまっているのを若干気にしながら、甲板に出てみた。
城の窓から見た月は丸く明るく輝いていたが、風はとても強かった。





ふと、人の声が聴こえた気がした。
風鳴りかと思ったが、女声だ。誰だろう、こんな時間にこんな場所で。

不用心だ、という心配半分と、個人的興味半分とで、パーシヴァルは船頭に向かって歩く。
向かって右手側には、翼をたたんで丸まって眠るブライトが見える。もちろん、声の主は彼ではない。

パーシヴァルはおせっかいではなく特別世話好きでもなかったが、相手が女性となれば話は別だ。



風に乗り、切れ切れに届く声。
距離を詰めるごとにそれが、歌の形を紡ぎ出す。

パーシヴァルは階段を昇った。
近づくにつれ、メロディーラインが明確に…でも歌詞までは聞き取れない。

声質は甘く細いのに、妙に物哀しく響く、うた。
甘やかな細い声は切々と、月の嘆きを泣いていた。



ゼクセンの歌ではないだろう。少なくともパーシヴァルは知らない曲だった。
異国の歌だろうか。
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