昼下がりのティータイム

□女神にはなれない貴女の奇跡
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さて、鬼畜の所業とも言える正軍師シーザーの嫌がらせのようなパーティー割りにもめげず、どうにかビネ・デル・ゼクセに辿り着いたクリス一行は、
第一の目的であるところの金塊の売却を終え、ついでに鹿の角と光る玉をあるだけ買い占め、ここまでの道のりでゲットしたアイテムを売りさばき、懐の許す範囲でメンバーの防具を新調した。

今回のクリス班のメンバーは、パーシヴァル、サロメ、メルヴィル、アラニス、サポートにエリオット、そして出がけにジョー軍曹が快く貸し出してくれたレット&ワイルダー。
上記のようにあまりに舐めくさった…いやいや伸びしろ豊富なメンバーで、ヤザ平原で子供達が死にかけ、
途中ブラス城に立ち寄って身代わり地蔵を買い込んで装備させ、ゼクセンの森で幾つかの地蔵の尊い犠牲があってこその、今だ。
せめてサポートメンバーにヒーリング系の人員を、と、出発ギリギリまでシーザーに訴え続けたのだが容れられず――よもや、聖ロア騎士団の子供達を引き離すのは忍びない等という私情からではあるまいな、と詰め寄ったところシーザーは、

「そんなワケないだろ」

と、バッサリ。
では何故、と、クリスが食い下がると、

「エリオットはカネになる」

お金発見+宝発見のスキルは大きいんだよ、と、シーザーは力説。とにかく金が欲しい、というのが彼の主張だった。
シーザーの言い分もわからなくはない。連合軍は大所帯。ゆえに、常に金欠だ。主だったメンバーの武器だけでも最高ランクに研いでおきたい、その上、防具までとなると…いくらポッチがあっても足りない。
可哀想にヒューゴなど、炎の英雄でありながら、装備は金運三セット。
…もっともあの蛮族、いやカラヤクランの族長の御子息はライトフェロー家の執事にあつかましすぎると言われて屋敷から叩き出された経歴の持ち主であるから、案外軍師お仕着せの金運セットも喜んで着用しているのかも知れないが。


メルヴィルとアラニスが『磨けば光る玉』であるのも真実のようで、ここまでの行軍でなかなかの成長ぶりを見せてくれた。ことにアラニスは優秀な魔女になる素質があるようだ。
これなら、北の洞窟のボスも倒せるだろう。
そう判断し、クリス班は予定通り洞窟に潜った。ボスはマジッシャンだと聞いている。パーティーメンバーのほぼ全員が回復魔法持ちという水っぽい編成でもある。
そう簡単にはやられないさ、と、半ば鼻歌混じりで最深部に到着――したのだが。
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