捏造幻想水滸伝X〜陸〜

□RHYTHM RED BEAT BLACK
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「多分、ヤバイ…生まれる…」

「えええっ!!!」


臨月のヒルダの爆弾発言に、貴族達の群れは混乱した。


「ちくしょう、よりによって今じゃなくたっていいだろ!
 …あのヤブ医者、何が『予定日はまだ先だ』だよ」

混乱する周囲より、当事者のヒルダの方が落ち着いていた。
彼女は、いたた…とうめいて顔を顰めながらも、あくまでも気丈に毒を吐く。



ヒルダは這うようにして窪地に戻り座り込むと、混乱のあまりかえって表情を失くして呆然と立ち尽くす夫に言った。

「ブルーム、アンタ達は行きな」

「ヒルダ、しかし…!」

石化が解けたブルームは次にはきっぱりと、

「私は残る、君を置いては行けない。私は君の夫だ」

「バカも休み休み言いな。その前にアンタは、この集団の長だ」

脂汗を流しながらも、ヒルダは凛として言い切った。

「あたしはこの子を産む、それが今のあたしの役目。あたしもこの子も、後でアンタを追いかける。
 ブルーム、アンタの役目は何だい?」

ブルームは能面のような顔でヒルダを見下ろしていた。
彼がこんな顔をしている時は、内心で激しく葛藤している時だとヒルダは知っていた。

「早くお行き、ブルーム。
 あたしは、ケジメのない男は嫌いだよ」
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