捏造幻想水滸伝X〜陸〜

□sang 〜流血ver.〜
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罪人用の縄で捕縛され、警備隊員ふたりに挟まれるようにして執務室に連行されて来たリング卿は、開口一番、

「黙秘権を行使する」



これには流石のソリスも、笑みを収めて絶句するより他なかった。
しかし、ユーリはしたたかだった。

「そうしたければどうぞご自由に。
 ただ、何の申し開きもなければこちらは、こちらの都合の良いように解釈しますよ」

言って彼女は、『静かなる湖』をかけた。
リングJrが魔法の使い手だとはソリスは思えなかったし、そのような話を聞いたこともない。
何せ彼は、警備隊で紋章兵なぞやっているブルームを、あからさまに蔑むような男だからして。

アーメスの捕虜にさえもなされなかった配慮だが、これはむしろ味方に対しての予防線だろう。
今この部屋には、『雷神』ブルーム・フリージと、『殺戮の天使』ユーリ・ザクソンがいる。
はばかりながらこのソリス・ラウルベルとて、一応は土の使い手の端くれと自負している。
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