妄想幻想水滸伝X
□attendre
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ふと気づく。
もう何日、ダインに触れていないだろう。
いや、正確を期すなら、もう何日ダインに触れてもらっていないだろう、だ。
職務上、離れてしまうことはよくある。
例えば、自分が王子殿下のお供で城を空け、彼は本拠地での任務に就いているという場合など。
当然、そんな時は触れないし、触れられない。
子供じゃあるまいし、その点については理解しているし、カウントに入れない。
でも今は、そばにいる。
自分は王子殿下のお供で留守にしているわけではないし、ダインはダインで珍しく待機中。
同じ部屋の中で、応接ソファーに向かい合わせで座って、あちらは作戦の資料らしい地図を整理し、こちらは読書。
隣に行ってみようかな、と、ちらりと彼をうかがう。
あからさまに構えた雰囲気。仕事中に邪魔をするな、とでも言いたげな。
わかってる、そんなことくらい。
忙しいひとを煩わせては駄目。大丈夫、私は聞き分けの良いお利口さんなんだから。
ユーリは自身に言い聞かせ、読み終えた本をぱたん、と閉じた。
新しいのを借りて来よう。