妄想幻想水滸伝X
□ノルマ
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最近ユーリは、食玩にはまっているらしい。
「あーあ、またハズレ」
菓子より先におまけの人形を確かめたユーリは、落胆の声を上げた。
「どーぅしてもミアキス殿がそろわないー。何でなんだろ?
シンロウさんってば、何か中身に細工でもしてる?」
そもそも、お菓子におまけの人形をつけようと発案したのは、道具屋のシンロウ青年だそうだ。
イマイチ売れ行きの良くない菓子に、バシュタン作のフィギュアを抱き合わせたら大ヒット、と。
「もうカイル殿はいらないわ。今私が欲しいのは、ミアキス殿なの。
ミアキス殿が来れば、『ファレナ女王騎士シリーズ』全コンプリートなのに」
聞く人が聞けば問題になりそうなことを口走ったユーリは、もうひとつの袋を開けた。
「あ、アタリ。『シェラヴィ様王族服ヴァージョン』。
あとはシェラヴィ様は、戦闘ポージングをゲットすれば制覇だわ」
ユーリは、手のひらサイズの人形を小さい方のベッドサイドにちょこんと置いた。
そこには、同じシリーズの人形が何体か飾ってある。
「良くできていますね」
ダインは新たに仲間に加わった王子殿下を手に取った。
小さな人形ではあるが、細部に至るまでしっかり作り込んである。職人技と称していいだろう。
バシュタンは鑑定士ということで通っているが、自身も創作者として活動したかった人物なのかも知れない。
なるほどそれなら、他者の作品に点が辛くなるのも道理、と、ダインは妙な納得をした。