妄想幻想水滸伝X
□露天欲情
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「ねぇ、ダイン殿知ってる? 露天風呂ができたんですって」
いかにも無邪気な調子でユーリが言った。
何も含むところはありません、と言わんばかりの様子だが、この表情がくせものなのだ。
「混浴ですって、混浴。ふふっ、カイル殿あたりが狂喜乱舞しそうね」
小さな方のベッドにちょこんと腰かけ、子供のように足をぶらぶらさせながら、
ダイン殿も行ってきたら? と、風呂の仕度をしていたダインに、ユーリは事もなげに言う。
「いや、私は」
どうもユーリは、男と名のつく者は皆、女の裸が好きだと思い込んでいる節がある。
苦り切って切って捨てたダインに、あらそう、つまんない、と、ユーリはどうでもよさそうな口調で言った。
「ダイン殿も一緒に行く? って訊こうとしてたんだけど、興味ないんじゃしょうがないわね」
投げ出すような台詞に、ダインはぎょっとして着替えを用意する手を止めた。
「あなたは…行く気だったのですか?」
「だった、じゃなくて、行くの」
女ひとりで露天風呂?
それではまるで、覗くなり何なり好きにして下さい、と言っているようなものではないか。
「やめておきなさい」
「えー、何で?
せっかく新しいお風呂なのに。露天なんてどうなってるのかなーって、面白そうじゃない」
「何かあってからでは遅いでしょう」
何かって何、とも、そんな大袈裟な、とも、もう言わせない。
ことユーリに関する限り、この手の心配はいくらしてもし過ぎるということはない。