捏造幻想水滸伝X〜零〜
□マイ・フェア・レディ
1ページ/18ページ
ラウルベル邸から戻ったユーリは、ヒルダを食堂に誘い、ふたりで遅い朝食を摂った。
「ごめんね、お腹減ったでしょう?」
「いや。正直、この時間なら、いつもだったらまだ寝てる」
別にユーリを気づかったわけでもなく答えたヒルダに、ユーリは言った。
「違いないわね。まず、生活を朝型に持ってくとこから始めないとだわね」
軽い朝食の後、コーヒーをお供に、ユーリはヒルダに大まかな計画を説明した。
「悪いけど、コレで勘弁してね。
お茶の類は高級品なの。とてもとても、警備隊の食費で常備できるモンじゃないのよ」
ヒルダは、ミルクティーが好きだった。
それも、お茶にミルクを流すのではなく、
茶葉をミルクで煮出してシナモンをたっぷりと振りかけた、濃い目のチャイ・ティーが大のお気に入りだった。
しかしそれは、市井ではとんでもない贅沢品なのだとユーリは言う。
「今までは、1の女王様のご所望ならと、万難を排してお出ししてたんでしょうけどね。
でも、これからは違うわ」
もっともブルームなら、ヒルダのどんな無茶な望みでも叶えようとするだろう。
しかし、それでは駄目なのだ。