捏造幻想水滸伝X〜零〜

□チャンス
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兵舎に住まう数十人に朝食を食べさせ、
遠慮しなかった幾人分かの洗濯物をやっつけたユーリは、単身ラウルベル邸の執務室に向かった。
アポなしで悪かったかな、と思いきや――。



「お見えになると思っていましたよ」

ソリス・ラウルベルは、にこにこと気弱げにも見える笑みでユーリを迎えた。
茶の用意を申し付けようと腰を浮かせかけたソリスを、
すぐ行きますから、と、とどめ、前置きなしでいきなり本題に入った。

「ソリス様、裏門のことなんですけど…」



「当節では、南の門と呼んでおります。表、裏と決め付けるのもどうかということで」

なるほど、と、ユーリはソリスの言葉に頷いた。

「ロードレイクの農民にとって、雨天イコール悪いお天気ではない、ってのと同じ理屈ね」

それもまた極論だ、とソリスは思ったが、まあそんなところですね、と返す。

「それで、ソリス様。あの門はいつからああなの?」

「もう一月弱になりますか。アーメスとの小競り合いがありまして」

「一月もほったらかしなの!?」

目をむいたユーリに、いえ3週間とちょっと程ですが、と、ソリスはごにょごにょと言い訳した。

「って、似たようなモンじゃないの。アレ、直さないの?」

「直しますよ、もちろん。今、元老院に申請中です」
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