捏造幻想水滸伝X〜零〜

□Love 〜refrain〜
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兵役には向かない女だ、と思った。
我ながら極めて、人を見る目がないが。



初冬のある昼下がり、ルーティンワーク決済の為ソリスの執務室に出向いたところ、
応接ソファーで茶を飲む少女がおっとりと笑いかけてきた。

マロンブラウンの長い髪に、飴色のつぶらな瞳。
茶褐色のマントは男物らしく、彼女には随分大きい。
自分が着ればぴったりなのではないか、とダインは思った。

暖炉の火の照り返しでか、薔薇色の頬をして、子供がミルクを飲むような仕草でティーカップを持つ少女は、
整ってはいるが取りたてて美人という顔立ちでもなく、そこらですれ違ったとしても大して印象に残らなそうだった。

そんな娘を、主であるソリスは「確保せよ」と言う。

「彼女は私の恩人なのだよ」

ソリスは言った。

「今日からユーリ様…いや、ユーリ殿には、セーブル警備隊の一員としていてもらうことになった。
 ダイン君、頼んだよ」

「使いものになるのですか?」

つい尋ねてしまったダインに、

「おやおや、これはこれは」

ソリスは面白そうに眼鏡の奥の目をきらめかせた。

「まあ、無理もない、というところだろうね。
 客兵扱いだが、君達にとっても得るところは大きいだろう。
 だが…どうも…何というか、危なっかしいところのある方でね。
 是非、何事もないうちに宿舎にお連れして欲しいのだ」

はあ、と、ダインは間の抜けた相槌を打った。…他にどうしようがある?
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