捏造幻想水滸伝X〜弐〜

□協力攻撃・剣豪
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「もうそのくらいにしてあげなよ、ダインさん」

入り口付近で涼やかな少年の声がしたので、皆一斉に振り向くと、
王子殿下が大きな手さげ袋を抱えて立っていた。

「いきなり色気出してどうのとか言い出したから、
 何その痴話喧嘩! って思っちゃったよ。

 でも、ユーリさんが剣を使えるなんてビックリだね。
 この際、剣の勉強してみたら? …とかは言わないけど」

シェラヴィは前半で皆の気持ちを代弁したが、後半部分で裏切った。
人心に聡い人だけに、ベルクートの言ったようなことを思って釘を刺したのか、と思いきや――。

「だって、ユーリさんが剣に転身しちゃったら、
 『協力攻撃・セーブル』が使えなくなっちゃうからさ」

ユーリがピストルを乱射して敵を弱らせ、ダインが大剣でとどめを刺す連係プレイは、
別に王子曰くの協力攻撃とやらを意識したわけではなく、
共闘の歴史の中で自然に身についた動きだった。

さらに言えば、初対面から妙に気の合うベルクートと呼吸を合わせてふたりで放つ衝撃波も、
彼とダインが初めてバディを組んだ時から自然にそうなった、というだけのことだ。
もちろん、その瞬間はふたりとも驚きもしたが、
何度か共に戦う後、それが当然のことのようになっていた。

ダイン殿は美味しい素材だからシェラヴィ様絶対に放っとかないと思うの、
私が勝手に考えてるのはベルクート殿とか合うんじゃないかなー、大剣使いのひとだし…
等とのたまっていたユーリの言を思い出す。
…彼女は予言者か?

脱力しつつおののいているダインに、シェラヴィはさらに言った。

「アレ、カッコイイよねー。
 Sレンジ+Lレンジって、まずSが叩いてそれから飛び道具でとどめ、が基本じゃない?
 僕とサイア姐さんにしてもそうだけど、
 美味しいトコはみーんな、サイア姐さんに持ってかれちゃうんだよね。

 でも、セーブル組のは、
 ユーリさんがダインさんのこと立ててる感じがして、すっごく好き♪」

「はあ……」

ダインは力なく相槌を打つが、外野はあの色っぽいサイア姐さんとコンビを組む王子を羨む野郎どもの集団だった。
兵達は演習もそこそこに、それって何ですかどんなですか、と王子を質問攻めにしている。

王子は、かたわらのリオンと共に兵達に協力攻撃の型を得々と説明し、兵達も興味深々で聞いていた。
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