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10/03(Wed) 19:10
「風花風葬」に関して
翡翠

人生に不慣れな子供の頃に徹底的にスポイルされた人間の悲劇。
この章で書きたかったのは、正にこのパートです。

幽世の門の設定と、元暗殺者達の「その後」を見るにつけ、鉄は熱いうちに打てとはよく言ったものだなぁ、と。
それに、よくもまぁこんな非道な設定考えつくモンだよ、とも(あ、これ誉め言葉です)。

例えばサギリ殿は、彼女の内心がどうであれ常に笑顔。
笑顔しか浮かべられません。
王子殿下に「私の顔、見ないで下さい…」って言ったあの哀しみって、ちょっとないです。

シグレ殿は人の目を避けるためなのか、常に前髪のすだれ越し。
フヨウさんがどんなに宥めすかしても、強行突破しようとしても、どうしても駄目。

ふたりとも、オボロ先生の元で一見「しあわせ」に生きているように見えます…そう、一見。
でも、少しでも気を抜くと心だけ過去に逆戻りしてしまいそうな危うさが、彼らには常につきまとっています。
破壊され尽くした者の静かな慟哭のようなものが彼らの深いところに重苦しく横たわっているのです。

それでも踏みとどまれた側のひと達=オボロ一家。
オボロ先生自身も傷ついていないはずはないんでしょうけど、シナツいえオボロ先生の存在は大きい(あ、もちろんフヨウさんもね)。

危ういバランスではありますが、彼らはどうにかこちら側にいます。
対して、あちら側に飛び込んでしまった人は…という描写。

繰り返しますが、人生初期から繰り返しスポイルされ続けたら、こんな症状を呈することもあります。
そして、その結果としての「自死」は決して、珍しいものではないのです。

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