捏造幻想水滸伝X〜陸〜
□genesis 〜前編〜
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メリッサの提案は、以下の通りである(カッコ内はリンダの内心の呟き)。
独自の調査の結果(って、どんな調査だ?)、
ヒルダの腹の子は双子らしく、手前にいるのが(って、手前って…)逆子らしい。
逆子が出口を塞いでいるものだから(出口ってのもまた何とも言えない表現だ)、
おあとがつまっておりますよ…と(以上、原文ママ)。
このまま手をこまねいていては、母子共に危険である。
よって、少々思い切った手段を取りましょう…と。
今の状況で取れる手段は限られている。
スタンダードな帝王切開は技術的にも設備的にも色んな意味で無理。
となると、多少手荒くなるが、手前の逆子を引っ張り出すしかない。
母体には凄まじい苦痛を与えてしまうし、かなり無謀な賭けにもなるが、とにかくやるしかない。
ヒルダが断末魔のような悲鳴を上げた。
メリッサの力技は凄惨を極め、リンダは思わず目をつぶり、顔を背けた。
「リンダさん…!」
メリッサが鋭く呼ぶ。
リンダは、痛みでのた打ち回るヒルダを抑えながら、えづいた。
やはり赤子は足から出て来た。
どんな方法を用いたのかは定かではないが、メリッサの見立ては正しかったのだ。
「そうですよ、その調子…。もう少し…頑張って…」
メリッサがかける声は果たして、妊婦に対するものなのか、それとも自身に言い聞かせているのか。
「もう少し…もう少し…!」
メリッサは力任せに赤子を引っ張る。
身体が出、頭が出た。