捏造幻想水滸伝X〜陸〜

□genesis 〜前編〜
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リンダは促されるまま、メリッサ・ラウルベルの手に消毒液をぶっかけた。
メリッサは領主夫人とも思えぬダイナミックさで、バシャバシャと消毒液で手を洗う。

リンダもまた、彼女と同様の処置をした。
メリッサは衛生面において、ことに厳しかった。


メリッサによると、リンダの義姉の腹の子は逆子であり、かつ、双子であるらしい。
正常分娩で産婆に言わせると安産だったというリンダでさえ、思い出したくないような苦行だったというのに…。

――義姉様、さぞやお辛いでしょうに。

リンダはヒルダに心から同情し、そしてヒルダとその子供達を案じた。
出産で命を落とす女性は、決して少なくはない。



「リンダさん、準備はよろしくて…?」

リンダは尋ねるメリッサに、力強く頷いた。
メリッサから提案を受けた時には驚いたが、ここまで来たらもう、引き下がれない。

「義姉様、もう少しだけ頑張って! 私がいますからね!
 私もライちゃんも、兄様も…父様も、みんないますからね!」

リンダは義姉の手を取り、叫ぶように言い聞かせる。
苦しまぎれにリンダの手を握り返すヒルダの力は物凄く強く、リンダの手首に痕が残る程。
リンダは痛みに顔をしかめたが、その力強さに安堵する。
痛みというなら、ヒルダの方が酷く、辛いはずだ。


「奥様、こちらはいつでも!」

リンダは間接的にメリッサを促した。
メリッサは覚悟を決めたようだ。
いつになく真顔で、怖い程の迫力を醸し出し、無言でヒルダの秘所に手を突っ込んだ。
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