捏造幻想水滸伝X〜陸〜

□ラビリンス 〜前編〜
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もちろん、出産行動中のヒルダはまだ、出産行動中だった。
いつもと経過がちょっとばかり違うお産に、流石のメリッサも焦り始めていた。


「頭が…全然…」

出て来ないのは、おかしい。やはり、変だ。
正常分娩ではないのかも知れない。


――もしかして、逆子…?


それなら頭が…というのも判る。
しかし、それが判ったからといって、どうすればいいのか。
メリッサは医者ではない。おクスリが異常に好きな、普通の主婦に過ぎないのだ。

100歩譲って逆子なら、まだいい。
もし仮に、へその緒が赤ちゃんの首に巻き付いているとか…本当に、考えるのも恐ろしいことだが、赤ちゃんが既に死んでいる、とかだったら。


採るべき方策は唯一つ、帝王切開しかない。
しかし、ここで手術などできようもはずもないし、仮に準備をしたとて執刀医がいないことには…。



――クロード先生、どういたしましょう…?

表面上はあくまで変わらず、はーい力んで下さいねー…なんてやっていながらも、メリッサの心は千々に乱れていた。
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