捏造幻想水滸伝X〜陸〜
□all for one
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エルトはトムスの意見を容れ、進軍(?)続行を決めた。
ぐずる子には、フェミナがこう言えばよかった。
「今日のお泊りの場所では、誰のサインがもらえるかしらね?
『大地母神』アストリア様かしら、それとも『槍神』キュアン様かしら。
もしかしたら『風の賢者』セティ様かも知れないわね」
雨中の行軍にぶつくさ文句をたれていたのは、レプトールだけだった。
「ま、元気出しなさいよ、おじいちゃん」
フュリーが、文句垂れ流しのレプトールの背中を、元気良くぱしん、と叩いた。
彼女は、粋をこらした雨具をばっちり装備しており、頭から足元まで、万全の状態だった。
ぱっと見派手な色使いであり、装飾過多なのだが、フュリーが着ると何とも言えず風情があった。
センスがいいのだろう。
「おじいちゃんのカードは、領主様のBossレアカード以上の裏のラスボス待遇にしてあげるからさっ♪」
「誰がおじいちゃんだ!」
例によってレプトールはいきり立つが、フュリーはからからと笑って、
「おじいちゃんじゃないなら、歩けるわよね。ま、そんだけ元気なら心配するだけムダか。
さ、とっとと歩いておじいちゃん」
「ワシはお前のおじいちゃんではない!」
「はいはい。
…でも、フツーにおじいちゃんじゃん、見た目的にさ。まさか、おにーさんなんて呼ばせないよね?」
「失礼な娘だ。まったくもって失礼な娘だ。親の顔が見たいわい」
「そんなのあたしだって見たいわよ」
あっさり言い放ったフュリーのひとことがあまりにからっとしていたので、エルトははっとしてそちらを見てしまった。
――このコも、オレらと『同じ』か。