妄想幻想水滸伝X

□リンドブルム傭兵旅団
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「おいおい、そこ、何してんだ! ミューラーばっかずりぃぞ!」

「はいはい」

駄々っ子のようなヴィルヘルムに苦笑して、
ユーリはヴィルヘルムとミューラーの間にちょこんと座って、ヴィルヘルムのグラスにビールを注いでやった。

「お、サンキュな」

ヴィルヘルムのいかつい手が、ユーリの胸元をまさぐる。

「おいたはいけませんよ」

ユーリは、ヴィルヘルムの不埒な手に指を絡めて、握りこんでやった。
当然振り払われるか叩かれるかと決め付けていたヴィルヘルムは、拍子抜けしてかえって困惑してしまった。

ユーリは、熟考体勢に入ってしまったミューラーに穏やかに告げる。

「命を預ける雇い主のことですもの、慎重になるのは当然ですね。
 いっぱい迷って、いっぱい考えて、決めてくれればいいと思いますよ」

勝手に注文した刺身の盛り合わせを受け取り、
ヴィルヘルムと胸元の攻防戦に興じていると、ミューラーが不意に口を開いた。

「悪かねぇとは思うぜ。王子のウデなのか、軍師が凄いのかは知らねぇがな」

そのふたつは切り離して考えるのは無理だろう、とユーリは思ったが、

「その凄い軍師を抱え込んでるのは、王子殿下の懐の深さ、ってことではないですか?」

と言うにとどめておいた。
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