妄想幻想水滸伝X
□リンドブルム傭兵旅団
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「あんたの言う通りだよ。
違約金は取れたが、ここまでの経費諸々考えたら、大赤字だ」
ミューラーは焼き鳥を肴に酒を流し込み、吐き捨てるように言った。
「…でしょうねぇ」
ユーリは酒瓶を手に、すすすっとミューラーにすり寄って、隣にちょこんと陣取った。
隊長はヴィルヘルムだが、実務向きの話はどうやらミューラーとした方が早そうだ、と悟ったので。
「それで、次の口は見つかった?」
「いや、まだだ」
「そっか、それなら」
ユーリは新しい瓶の封を切ると、ミューラーの杯に注ぐ。
「王子軍なんか、どうです?
今はもうバロウズとも手を切ったから、レインウォールの時みたいな騙し討ちはないはずですよ」
ミューラーは酒をあおりつつ、黙考。
もうひと押し、と、ユーリはミューラーに酌をした。
「単純に戦争屋として見て、どうです?
王子軍の掲げる志とかは抜きにして」
傭兵達は一般に、志とか掟とか、そういう面倒事は嫌うものだ。
それを知るユーリは、あえてそういう言い方をした。