妄想幻想水滸伝X
□リンドブルム傭兵旅団
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王子達は交易の他にも、探偵事務所やら鍛冶屋やら、寄りたいところ満載らしいので、
宿で落ち合うのはもうしばらくかかるだろう。
ユーリとしては、一行の宿の手配以外は特にすることもなかったので、
そのまま傭兵達と付き合うのにも不都合はなかった。
「レインウォールん時ゃ、悪かったな」
ヴィルヘルムが殊勝なことを言うので、塩を舐め舐め酒を飲んでいたユーリは、
きょとんとして向かいに座る男達をまじまじと見つめてしまった。
「謝ることなんてないですよ。
リンドブルムの方達は、あくまで内乱の平定ってことで契約してたんでしょうから。
アーメスが出張ってきたとあっては、話が違うってことになって当たり前ですって」
可愛い顔をして随分訳知り名ことを言う、と、ヴィルヘルムとミューラーは目くばせし合った。
「で、ぶっちゃけどうなんです?
あの時は、儲かるどころか足が出たんじゃありません?」
「こりゃ、かなわねぇな」
ヴィルヘルムは焼き鳥の串を引き寄せかぶりついたが、アチッ、とわめいた。
「あーあ、慌ててがっつくからですよ」
ユーリは笑って、皿の上の串焼きを食べやすいようにほぐしてやった。
「はい、ちゃんとふーふーしてね」
子供に話しかけるようにユーリは言って、ヴィルヘルムとミューラーの皿に、
串を抜いた鳥を取り分けてやりつつ、答えを待った。