捏造幻想水滸伝X〜弐〜
□受戒の意図・後編
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「私にそれを訊きますか」
「ええ。…『ダイン殿』に、訊いてます」
しばらくふたりは、お互いの瞳の中を無言で探り合っていた。
やがて、ダインが静かに言う。
「私は、あなたがいてくれればいいと思います。残る連中には申し訳ないですが」
ユーリはそれを聞き、安堵したように目を伏せて囁く。
「『原罪』の主としては行くべきなのでしょう。…サイアリーズ様の為だけにでも」
「サイアリーズ様の?」
思いがけない名を出され、驚いて目を見張るダインに、
ユーリははっと口をつぐみ、はぐらかすように笑って、明るく言った。
「私にも行きたい気持ちはあったので…。
それが、私自身の意思なのか、紋章に操られてるのか、判らなくなってたの。
でも、ダイン殿が大丈夫って言うならきっと、大丈夫なのね」
全幅の信頼、と書かれた顔で言い切られ、逆にダインはたじろいでしまう。
「私の意見などを鵜飲みにしてしまってよいのですか?」
「あなたは人として、正しいと思うから」
「何を根拠に」
ユーリはまたしても、むーーー、とうなって考え込んでいたが、やがて小さく笑って囁いた。
「あなたの魂は、罪の匂いがしません。
真っすぐで、高潔で…きっと、自分が正しいと思える道を歩いて来たひとなのでしょう」