捏造幻想水滸伝X〜弐〜
□漂流の羽根
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「ユーリさんは確かに戦力として優秀だと思うよ。
でも、あのヒトが戦いたくないって言うなら…」
「彼女はそうは言いますまい。
他の誰かが危険に曝されるぐらいなら私が、とばかりに、自ら戦いに身を投じるでしょう」
「…だね」
「だからこそ、私は彼女が軍に志願してきた時、拒否したのです。
結局押し切られて、こんなことになってしまってはいますが」
苦笑したソリスに、シェラヴィはやっと足がかりをつかんだ気がした。
「僕はね…ユーリさんにおけるセーブルは、僕にとってのソルファレナだと思うんだ」
やはり、手の内をさらさねばなるまい。シェラヴィは改めて口火を切った。
「太陽宮の中で、僕はまあまあ幸せだったと思うよ。
父も母も妹も、女王騎士達も、皆僕に優しかったし、それなりに愛されてたとも思う。
でも、一歩外に出たら、結構風当たり強かった。
女王国の王子なんて役立たずの穀潰し、とか言われるのはしょっちゅうだったし、
とっとと他国に婿入りして姿消してくれた方が身の為だ、なんて脅されたりもしたし。
陰口なら本人に聞こえないように言えよ、って。
…そんなもんで僕、一時期太陽宮から出るのが怖かった時があったんだ」
ソリスの顔から笑みが消える。
この表情ならわかりやすい。これは、哀しみの顔だ。