捏造幻想水滸伝X〜弐〜

□anybody's game
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今度の曙光は、ユーリを狙うダインに対する牽制だったようだ。
ホッと息をつくと、ベルクートをサンドバックにしていたユーリが、
さっと飛びのき、防御の構えを取っていた。

ベルクートが復活したらしい。


こうなれば――ダインとベルクートは頷き合い、非力な娘を挟み撃ちにする。

「ユーリさん!」

叫んで殴りかかってきたシェラヴィに、ベルクートが鋭い一撃をお見舞いした。

「シェラヴィ様!!」

ぐっ、とうめいてその場にうずくまるシェラヴィに気を取られたユーリは、
襲いかかってきたダインの大剣に、右手の小剣を落とされた。

「チェックメイト、ですね」

ダインは呟いた。

手負いの獣の目をしたユーリは、氷の息吹をまともにダインに食らわせ、
シェラヴィの元へ駆け寄り助け起こすと、すぐさま優しさの雫を与えた。

――まだやる気か?

どうやらそのようだ。
シェラヴィは丸腰のユーリを背に庇い、ユーリは紋章発動の構えを取る。
そうだ、武器はなくとも、彼女には『それ』がある。

しかし、その陣形はこちらの思う壺だ。

ダインとベルクートは目と目で通じ合い、
王子殿下曰くの協力攻撃をお見舞いしてやった。
そしてそのまま、ふたりがかりで後列の紋章兵に襲いかかる。
決して先程のタコ殴りの仕返しではない。
戦場のセオリーに乗っ取っているだけだ。

この期に及んでも、ユーリはしぶとかった。
だが、何とかバディを救い出そうとベルクートにかかって行ったシェラヴィが
苦戦しているのに気を取られ、集中が途切れる。

「よそ見をしている場合ですか」

ベルクートに向けて氷の息吹を発動しかけたユーリに、ダインは言った。

「あなたの相手は…私です」

発動間際、ダインはユーリの鳩尾を狙って一撃。
綺麗に入って、彼女はくず折れるように気を失った。
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