捏造幻想水滸伝X〜弐〜
□anybody's game
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思いもよらぬ展開に、やはり彼女は真っ先に叩いておくべきだった、と、ダインは臍を噛む。
自分のタイタンで一撃、それで駄目ならベルクートのはやぶさで一撃。
それで終わると高をくくっていたが。
――しぶとい女だ。
来る、と、身構え、ベルクートの渾身の一撃を最小限のダメージで止め、
ベルクートの突き返しとダインの攻撃で打撃を受けた王子殿下もろとも癒して、
ターゲットをアンバランスのベルクートに絞ったユーリに、ダインはさっと足払いをかけた。
「足元がお留守ですよ」
どうにか踏みとどまり、きゅっと唇を噛む少女めいた童顔の娘に、ダインは切りつける。
彼女は避けなかった。
素早く詠唱し、氷の息吹を纏った剣で、大剣の一撃を受け止め、反撃してくる。
――魔法剣…ではない。彼女の武器はピストルだ。
魔法剣の紋章などつけていなかったはずだ。ならこれは一体?
詠唱と同時に切りかかることで、軽めの一撃を補っているのか…凄い戦闘センスだ。
「……!?」
彼女の小剣がかすった程度だった左の手の甲が、やけに冷たい。
…まさか、氷結か?
「ふふっ、ハマりましたね…?」
こんな時なのに妖艶に笑って、ユーリは囁く。
「チェックメイト、かな?」
「…小癪な」
苛立ち混じりに吐き捨てたが、
こうなると回復の手段がないことがそのまま敗北につながりかねない。
もうこれでコイツは堕ちた、とばかりにダインから離れ、
またしても無抵抗のベルクートにちょっかいを出し始めるユーリに振りかぶった瞬間。
――またしても曙光がきらめいた。