捏造幻想水滸伝X〜弐〜

□anybody's game
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双方簡単な打ち合わせの後、開始の挨拶を済ませ。

「始め!」

リオンのかけ声と共に、まず素早さに長けるシェラヴィがベルクートに一太刀浴びせた。
彼の武器もまた、使い慣れた三節棍ではない。棒術用の木刀だ。

つまり、シェラヴィ・ユーリ組は、
武器においては通常の主武器ではないと言うハンデを負っている。
しかし、こちらには紋章がある。
ユーリは慣れた手順を踏み、氷の息吹を発動させた。

その隙をついて、ダインが突っ込んできた――タイタンの紋章。

――えっ? 私に?

両手剣専用の紋章の一撃に、ユーリは吹っ飛び、派手に尻もちをついた。
さらに狙ったようなベルクートの追い討ち。
どうにか小剣で弾いて、ユーリは体勢を立て直す。

こんな初っ端から飛ばしてくるとは思わなかった。しかも、自分に。
このとっておきの一撃は、回避に長けるシェラヴィへの、
対武器ガード対策に使ってくるものとばかり思っていた。

ただ、強力な紋章の使用にはもちろん制限があって、
ダインのタイタンの場合は、使用後一定時間は極端に動きが制限される。
――つまりは、ほとんど動けなくなるのだ。

彼がユーリと組む時は、
使用後ユーリがすぐに水の紋章を使役して、状態異常を回復してやる。
それが望めない時、ダインはその紋章の使用を、
確実に一撃で片がつくと判断しない限り、見送ることが多かった。

――つまりは、私は『一撃で仕留められる相手』と思われたわけね。
見くびられたものだわ、と、ユーリはきりっと唇を噛む。

木製の小剣を片手に、ユーリは助走をつけ、ダインに切りかかった。
剣での攻撃は不慣れだが、動かない的になら当てられる。
今のうちに少しでもダメージを与えておいてやろう。彼らに回復の手段はない。

相棒の危機に、ベルクートが割って入る。
――このひとは、普通に攻撃してたんじゃ駄目だ。
付け焼刃の剣など、はね返してくる。…それなら。

「こういうやり方も、あるんだよっ…!」

ユーリは素早く身をかわし、呪文の詠唱とほぼ同時に切りつける。
剣に氷の加護が満ち、相手がひるむ。

そこに、黎明の曙光が炸裂。
ほぼ一直線上に並んでいたダインとベルクートを灼いた。
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