昼下がりのティータイム

□劇場は今日も満員御礼
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「………………は?」

仲直りも何も、ここのところユーリとは逢ってすらいない。お互い忙しい身の上であるし、そもそも仲違いする程の接点もない。
と、申し開きしようとしたが、

「あー…ついにトーマスのトコまで話が行ったかー…」

「っていうか、苦情の嵐だよ」

トーマスは年が近いせいなのかはたまた他の要因があるのか、シーザーに対しては割とくだけた話し方をする。

「で、結局のところはどうなのかしら、サロメさん?」

アップルに訊かれても、何が何だかわからない、というのが正直なところだ。

「どう、とおっしゃいますと?」

サロメが訊くと、アップルは至極真面目に、

「わたしは、サロメさんがユーリさんの決死の告白をなかったことにしてスルーしてて、だからユーリさんが泣いていた、って聞いたのだけれど」

「へぇー。オレが知ってるのとはちょっと違うかな。
 オレはサロメさんがユーリをこっぴどく叱りつけて大泣きさせた、っていうハナシ」

「私が小耳に挟んだのは、サロメ殿がユーリとクリスに二股をかけていて、愛人ポジションのユーリが涙に暮れている説だ」

アップル、シーザー、さらにはルシアにまでまるで身に覚えのないことを言われ、サロメは仰天した。

「まさか! わたくしがそのような!!」

「あぁ、もちろん私は信じていないさ」

と、ルシアは続けて、

「だが、アンヌやルースはまるきり鵜呑みにしてしまっていてな。
 ジョー軍曹は懐疑的だったが、ビッチャムはあの通りのユーリ贔屓だから…これだから鉄頭は、といきり立ってしまって。
 デュパ達は、ユーリのことは近頃の人間の娘にしては見所があると可愛がっているから、ユーリを泣かせるような奴は精霊に呪われ地獄に堕ちるがいい、等と」

グラスランド民の中ではサロメ殿は最早悪の枢軸扱いだぞ、と、ルシアは半ば面白がるように言った
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