昼下がりのティータイム
□エンドレス・ヒストリー
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ブラス城に戻ったサロメは、何やら考えに沈むクリスを励ましたきつけておいてから、パーシヴァルの部屋を訪ねた。
慣れぬ魔法の鍛錬(?)で飲み歩く気力もなかったのだろう、彼は在室していた。
「評議会がらみでビュッデヒュッケ城の住人と戦闘になったことがありましたね」
「えぇ。…って、そんなつい最近のことを、10年も昔の話みたいに」
まぁサロメ殿らしいですけどね、とパーシヴァルは苦笑して、サロメに椅子を勧めた。
個室といっても砦の城の小部屋である。1脚きりの椅子にサロメがかけると、パーシヴァルは必然的にベッドに座ることとなる。
「飲みますか?」
パーシヴァルは戸棚の奥に隠し持っていた秘蔵のワインを取り出し、サロメに訊く。
こうしとかないとボルスに勝手に飲まれてしまうんですよ、と彼は言う。
「そうですね、いただきましょうか」
酒は明らかにパーシヴァルの口を滑らかにしていた。
これ幸いにとサロメは本題に入る。
「ビュッデヒュッケ城の住人の中に、明らかに格の違う使い手がいたという報告を受けていますが」
「えぇ、いましたよ」
パーシヴァルは指を折りつつ、
「ナルシーっぽいのに腕は確かな優男、幼いながらも風格漂うなぎなた使いの少女、ありえない遠距離から雷魔法を撃ってくる美女、親が泣いてきそうな幼女のくせにやたら素早い芸人、
無限に続くかのような連鎖攻撃を繰り出す武闘家、少女離れした怪力のブラウン隊長の娘、とにかく意味なく打たれ強いドワーフに、抜け忍としか思えない達人の手裏剣使い、
自称伝説の大魔導師クロウリーの3番目の弟子とかいう老魔法使い、何かの冗談かと思うぐらいにすっとぼけた雑種の犬…」
「犬ですか…」
ビュッデヒュッケ城とはどれだけ総力戦だったのか。
サロメはワインを一口含んだ…いい味だ。