捏造幻想水滸伝X〜漆〜
□ツークツワンク
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所変わって、王子軍居城・通称シンダル城にて。
軍議の間には、軍主であるシェヘラヴィールと軍師ルクレティア、軍の幹部とも言える各都市代表格らがそれぞれ深刻な面持ちで詰めていた。
「バフラム艦隊とディルバ将軍の部隊が、ドラートを占拠しました」
ルクレティアは居並ぶ幹部達に言った。そしてちらりと、ダインをけしかけるように視線を送る。
ダインはそれを受けて、
「南からはアーメス南岳兵団が侵攻し、セーブルを陥としました。
東の海上からはアーメス西海兵団の揚陸戦隊がエストライズを制圧。
しかしルクレティア様が事前に警告して下さったおかげで、民の避難は順調に進んでいます」
ラージャが、やりきれないといった風に首を振り、
「まさか、アーメスを抱き込むとはね…」
「何と恥知らずな!」
ボズはひたすら憤慨していた。
彼の家族はアーメス西海兵団支配下のエストライズにいる。しかし彼は決して、帰りたいとは言わない。
おそらく人一倍妻子を案じているのだろうが、それ以上に信頼もしているということなのだろう。
ワシールが思慮深く言葉を選びながらゆっくりと、
「アーメスもよく乗ってきましたね。
ゴドウィンは一体、どんな条件をつけたのやら…」
「南に関してはそれに対して確実な返答が可能です。制圧後のセーブルをマハ・スパルナに与える、と」
断言したダインに、幹部連中の目が一斉に向いた。