捏造幻想水滸伝X〜弐〜
□受戒の意図・後編
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「それじゃごちそうさん、邪魔したね」
退散したサイアリーズを、皆は呆然と見送った。
やがて、呪縛がとけたように、それじゃおやすみ、と、三々五々引き上げていく。
連中の使いっ放しのカップや、食べ散らかした菓子を片付け始めたユーリに、ダインは改めて問う。
「まさか本気で、ジャンケンやくじ引きをさせる気ではないでしょう」
「いけませんか?」
だって、武力対決じゃ絶対シェラヴィ様が有利だし、
舌戦じゃどう頑張ってもソリス様勝つし、と、
はぐらかしにかかるユーリに、ダインは努めて冷静に尋ねた。
「あなたの意思はどうなのですか?」
「隊長殿のご意見は?」
カップの大軍をシンクに運び終えたユーリが、逆に問い返してくる。
「私は…あなたの意思を尊重します」
ダインの答えに、洗いものをしながらユーリはふっと息をついた。
「私の意思、ね。…私に決定権なんか、あるの?」
いつぞや、私に拒否権あるの? と、いとけなく呟いた彼女と重なる。
「ありますよ」
だから、強めに言い切った。
するとユーリは水を止め、揺れる飴色の瞳でダインを見上げ、
「…ダイン殿は、どうしたらいいと思います?」
おずおずと尋ねてきた。
『隊長殿』に意見を求めた時の強気はどこへやら、だ。